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千葉県立美術館 2020年01月19日 美術 トラックバック:0コメント:3

後藤純男の全貌。

日本画家・後藤純男は1930年、千葉県野田市の真言宗豊山派の寺に生まれる。
若くして日本画家・ 田中青坪に師事。
22歳で第37回院展に初入選した。

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1965年 再興第50回日本美術院展覧会で日本美術院賞・大観賞を受賞。日本美術院特待に推挙。
1976年 再興第61回日本美術院展覧会で文部大臣賞を受賞。
2016年 逝去。

日本画壇に大きな足跡を残した後藤純男の代表的作品60点余りが、県立美術館で展示されるということで、
会期もあとわずかに迫った某日、2年ぶりに県美を訪れた。

最大規模の後藤純男展とあって、平日なのにたいへんな混雑である。
全作品の中から、後藤純男といえばこれと思うものを数点ご紹介しよう。

後藤A
風景(1952年)

後藤B
江南水路の朝(1986年)

後藤C
那智(1987年)

後藤D
新雪嵐山(1985年)

ご覧のように後藤純男の作品は、殆ど風景画の大作だが、
峻厳な風景の中にも安らぎを感じるのは何故だろう。
会場には後藤画伯の言葉が紹介されていて、
それによると、
「仏門に生まれたにも関わらず絵を志し僧職を捨てたのだが、
絵によって仏の心に近づきたいという願いで描き続けてきた。
厳しい自然の中にも、仏の慈悲を感じるような表現を目指したい」
とある。

僧とならず画家となったものの、二十歳まで修行かつ学んだ仏の教えは、
後藤純男の絵画に決定的な影響を及ぼしたようだ。

最後の「新雪嵐山」の前に立つと、静かな感動に包まれた。
亡くなった父母のこと、義父母のこと、お付き合いいただいた素晴らしい人たちのこと。
この3メートルを超す大作のほんの一ミリに、それらの人々の息遣いが詰まっているような、
そういう思いがして、絵の前から動けなくなったのだ。

この美術館には庭園に面して落ち着いたレストランがある。

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また近辺にはホテルや新しく出来た港「ケーズハーバー」の、おしゃれなレストランも。

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しかし私にはどうしても行ってみたい場所があった。
美術館からしばらく歩くと倉庫が立ち並ぶ殺風景な一角、昔は細長い入り江だったのが、
輸入外車の置き場として埋め立てられてしまった、その向こうに昔からの食堂があった筈。

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だいぶ化粧直しをしたようだが、「湾岸食堂」は健在だった。
ここは港湾で働く人たちのオアシスだが、
最近では遠くからサラリーマンたちもやってくるという。

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中も綺麗になった。

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この日は迷わず「アジフライ定食」。
表カリカリ、中フワフワの鯵フライに舌鼓を打ちながら、
後藤純男展のリーフレットを眺める美味しい時間。


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赤提灯(105) 2020年01月17日 酒肴 トラックバック:0コメント:30

エビセン狂。

南亭はえびせんに目がない。さまざまなえびせんをぱりぱりぽりぽりしてきた。

この国は海老の消費量が世界一というほどの海老好き民族。
「えびえんべい」はそんな特異な民族が作り上げた、世界的文化財的遺産的な食品かもしれない。

えびせんえびせんAえびせんB石崎

えびせんにはスーパーでもおなじみ、左からカルビーの「かっぱえびせん」、三河屋の「えび満月」。
またお菓子の「まちおか」などでは、少々お高いけど石崎製菓の「大海老」などなど・・・枚挙に暇がないほど。

「えびせんべい」は愛知県が生産量日本一だそうで、なんと国内のシェアが95%。
明治時代の中期に愛知県の蒲鉾屋が、考案・製造したのが始まりというから、
さすが「えびふりゃあ」で有名な尾張らしい菓子である。

えびA

数ある「えびせん」の中でも、南亭が虜になっているのは、
名古屋にある老舗「桂新堂」の逸品たち。
せんべいは、濃厚な海老の旨みに満ちていて、車エビ、甘エビの姿焼きはまことに香ばしい。
ただし、お値段もまことに濃厚で、ただの丸いせんべい5枚が550円。

「かっぱえびせん」が身の丈の南亭には、高嶺の花なのだが。
なんと義兄からお歳暮として、桂新堂の大きな箱が送られてくる。
この時ばかりは「あにうえさまー!」と、北(義兄の住んでいる方角)に向かってひれ伏すのだ。

桂新堂を食べきった後は、またかっぱえびせん、えび満月に戻るわけだが、
そのたびに富豪から貧民に落ちてしまったような気持ちになる。

海老せんA

だが、100円台のえびせんにも、愛好家の舌を満足させるような逸品が生まれてきたのである。
先ずは栗山米菓の「瀬戸しお」。小海老を練り込んでソフトに揚げたせんべいだ。
ふわふわの食感が女性にも受けているという。

そして、ついに!と思わせたのが、亀田製菓の「通の焼き海老」だ。
「通の」と言い切るほどのものだろうか・・・半信半疑で齧ってみたのだが、なんじゃこりゃ!
すんげえ、美味い!!

甘海老100%使用は大げさではない。じゃ甘海老100%とはどんな味?と思われるだろう。
そうね・・・海老の食べカスといっては語弊があるけど、
殻のところを沸騰させた汁に、塩を少々振った味といったら、わっかるかなー!
南亭にも分らんが。

ちなみに「瀬戸しお」が15枚入り150円。
「通の焼き海老」は小袋6袋入りが160円前後で売っている。

海老せんB

でもって、写真右上が「瀬戸しお」、左上が「通の焼き海老」。
そして下が「桂新堂」の姿焼き、その他である。
松が取れて「桂新堂」も胃袋に消えてしまったが、
南亭には「通の焼き海老」という心強いお伴ができたわけである。


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朝日寄席 2020年01月15日 落語 トラックバック:0コメント:14

昇太、三平、喬太郎。

毎年一月は市の文化会館で朝日新聞主催の落語会が催されます。
なかなか東京の寄席に行けなくなったこの頃、
久しぶりに生の落語を聴きたいものと、前売り券を買いました。

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今最も人気の春風亭昇太、若手のホープ二代目林家三平。
そして本題より枕が面白いと評判の柳家喬太郎ときては、見過ごすわけにはいきません。

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ということでやってきました文化会館。
まずは春風亭昇太、演しものは「看板のピン」。
賭け事好きの職人が、受け売りのイカサマでかえって大損をするという噺。
流石は「笑点」の司会者、これぐらいの力量でなければね。

続いては林家三平。
「紀州」という噺は、将軍位を巡って尾張と紀州の微妙な駆け引きが笑わせます。

トリが柳家喬太郎で「夢の酒」。
亭主が夢の中で出会ったという、綺麗な女性に嫉妬する女房の噺ですが、
なるほど喬太郎の枕は長い。
噺半分とはこのことを言うんじゃないかと・・・アハハハ。

で、この喬太郎師匠は女性の役どころが当代一とも言われてまして、
「夢の酒」に登場する婀娜な女性、それに嫉妬する女房の仕草など、噂にたがわず見事なもので、
そういえば昔「婆さんの今輔」と評判をとった、古今亭今輔を彷彿とさせてくれました。

今日の噺家のなかでいちばん意外だったのは、三平さんでした。
「笑点」では小僧っこのような存在ですが、高座は非常に面白い!
初代三平ゆずりの慌ただしい笑い、それも脈絡のない話がぽんぽん飛び出す独特の話しぶりは、
ちょっと追っかけてみたい気持ちにさせられたものです。

こうして初笑いの時間もあっという間に過ぎてしまったのですが、いけませんねー。
また寄席通いが癖になりそうです。
本当は落語好きの孫と新宿末広亭に行く約束をしてるんですが、
部活が忙しい孫と手術療養の南亭との都合が合わなくて、行けずじまいになってるんです。

春休みは行けるかどうか・・・

東京だと寄席の帰りは当然のように、昼酒をひっかけるわけですが、
この近くには明るいうちから飲ませるところがあまり無いわけでして、
仕方なくこういう喫茶店に入りました。

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今どき珈琲が100円で飲める店ですが、看板にある通り珈琲豆はもちろん、
珈琲に関するものはなんでも揃えているという、珈琲専門問屋です。

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珈琲好きの方なら、興奮もののお店なんでしょうね。

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南亭は100円珈琲+イチゴワッフルとともに、今日の寄席を反芻しましたです。

●関連記事●
「ちいさな真打」

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田中達也 2020年01月13日 美術 トラックバック:0コメント:20

見立ての世界。

田中達也氏はミニチュア写真家です。
ジオラマの模型や人形を使い、日常を非日常に見立てるアートで知られています。
その見立てアートとはどいうものでしょうか。

いくつかの作品をご覧いただきましょう。

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サーフィンの波に見立てたのは、レタスですね。

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回転寿司屋の寿司、皿や茶碗で見立てた街並み。

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ブロッコリーの木立。

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食パンの山岳地帯?

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キーボードが墓地です。

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このニットを畑に見立てた作品は、とても気に入りました。

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そして一躍有名になったのが、NHKの朝ドラ「ひよっこ」のタイトルバックに使われたミニチュアの街でした。
様々な家庭用品で作られていて、ドラマよりこの映像を楽しみにしていた視聴者も多かったそうです。


そごう百貨店で開催された「MINIATURE LIFE展」より。
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「ひよっこ」といえば桑田圭祐さんの主題歌も、話題になりました。
抜けたポップス調の歌が、見立ての世界によく似合っていたような気がします。

おまけといってはなんですが、主題歌「若い広場」もお届けしましょう。
「ひよっこ」で使われた映像ではありませんが。




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脅威? 2020年01月11日 俳句 トラックバック:0コメント:16

A I 俳人。

以前、こんなことを思ってました。
人工知能に俳句の作法と季語、古今の俳人による何万かの句を記憶させて、
新たに作句させたら、たぶん遜色ない俳句ができるのではないだろうかと。

当時(2010年頃)はすでにAIが、プロの棋士に圧勝する状況になっていましたから、
あり得ないことではないと想像したのです。

それが、今年4日の朝日朝刊「天声人語」に、
さてこそ!と思う記事が掲載されていたのです。
その記事をかいつまんでご紹介しましょう。
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《初釜やいまぞ生きよと富士の土》 《空青く子供育てし注連飾り》。
新年にふさわしい句である。詠んだのは一茶。といっても江戸期に活躍した俳人ではない。
俳句を詠む人工知能「AI 一茶くん」である。
▼北海道大学の川村秀憲教授が3年前に開発した。
江戸から現代までの古今の名句と、季語にちなむ写真を覚えこませた。
句題か写真を示すとそれに即した俳句を詠むことができる。
▼当初は平仮名しか使えず俳句の体をなさなかった。
それでも何十万もの句を学び続け、3カ月で味わい深い句を詠むようになった。
《又一つ風を尋ねてなく蛙》
▼近作には目を見張るものがある。
《強霜に日のさす如し磯の人》
驚くのはその数だ。1時間に14万もの句を作り出す。
「残念ながらまだ玉石混合です」と川村教授。
▼思ったのは、人間とAIのあるべき関係のことだ。
将棋で名人を打ち負かしたとか、多くの職を人から奪うとか。
それでも将来、十分に共存し、助け合える領域が実はかなりあるのではないか。
《初釜やひそかに灰の美しく》
当方が心奪われた一茶くんの作品だ。
新年の茶の湯という華やかな場で、あえて灰の美を詠む。
成長が楽しみでならない。
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どうでしょうか、特に俳句に親しんでおられる方は、どんな感想を持たれたでしょうか。
予想していたとはいえ、あまりにもどんぴしゃなAI 俳人の進化。
しかも、驚くことに人間的な感情まで備わっているような表現。
一瞬、背中に戦慄が走りましたね。

もちろん俳句だけではなく、AI は小説を書き、作曲もする。
絵画も例外ではなく、昨年10月にはニューヨークで開催されたオークションで、
AI が描いた作品がなんと5000万円で落札されたそうです。

クリスティーヌ

これが5000万円の値がついた,、AI による肖像画「Edmond de Belamy」。
14世紀から20世紀に描かれた肖像画1万5000点のデータを基に生成された作品とか。

こうして見ますと、AI は芸術の分野においても、人間と競い合う存在になってきたのですね。
しかもAI のほうが圧倒的に制作スピードが速い。
1時間に10万以上の俳句を作られては、たまらないです。

絵画も公募展で入選を目指そうとしたら、制作に最低ひと月はかかるでしょう。
入選レベルの絵を一日に何百点も生み出すAI のことを知ったら、
若い絵描きさんは将来を諦めるに決まってます。
絵描きに限りませんが・・・・

それでも「AI と十分に共存し、助け合える」時代になるのでしょうか。
脳たりんの私は、ただただ「こわいねー!」と思うばかりです。

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なんのこっちゃ。


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