ダリ 2017年07月23日 美術 トラックバック:0コメント:3

愛の宝飾。

シュールレアリズムの巨匠、サルバドール・ダリの宝飾作品はあまり知られてないように思う。
もともと宝石の構造や形に強い興味を抱いていたダリは、
シュールレアリズム作家としての地位が磐石となった40代から、宝石を使った作品を発表し始めた。

初めは愛妻ガラに捧げるためだったが、次第に宝飾というより芸術的作品を志向するようになった。
いずれもダリならではの超現実な発想だが、彼の平面作品をある程度見知った人なら、
ダリが究極的に求めていた世界は、ここにあったのかも知れないと感じるに違いない。

もちろん宝飾はダリが製作したものではない。
ダリの下絵に従って、著名な職人が作り上げたものである。

その宝飾作品が日本で始めて展示されたのは、秋葉原にあったミナミ電気7階の「ミナミ美術館」だった。
1986年のことだから、今から約30年前ということになる。
当時彫金家を目指していた連れ合いが、是非見ておきたいというので一緒に訪れたのである。
もちろん私も非常に興味を持ってのことだったが。

薄暗い会場のそこここで、スポットライトを浴びた40点近い作品は、
ダリの絵画を見慣れた私にも、妖しい興奮に巻きこまれるような異世界だった。
当時のカタログから、これはと思う作品のいくつかを紹介したい。
私も20何年ぶりかで見るカタログである。

だり

先ずは、ダリといえば誰でも知っているだろう作品。

ダリA

代表作そのままの『記憶の固執』。
時間が柔軟で時間と空間が分かちがたいことを物質化した----Dali

ダリB

『時間の眼』
人間は自身の時間から逃れることも、時間を変えることもできない。
眼は現在と未来の両方を見すえる----Dali

ダリC

『宇宙象』
天空に向って空中高く上昇しつつ、脚は宇宙の無重力状態によって細く引き伸ばされてゆく。
宇宙象は、宇宙の青い天空の世界に迫る。テクノロジーの進歩を象徴するオベリスクを背に負っている----Dali

ダリD

『イルカと人魚』
イルカは人間の次に知的とされる哺乳類。
人魚とともにキリスト紀元1965年の今年、酵素の科学的、生物学的勝利をもたらした珊瑚血の触媒である----Dali

ダリE

『生きている花』
華麗な花は開いては閉じ、ダイヤモンドに被われた雄しべや花弁をあらわにする。
手のひらの形をした花はつねに天を仰ぎ「光」を求めて伸びている----Dali

ダリF

『王家の心臓』
脈動するルビーは人民の為にその心臓が正確に鼓動をつづける女王を再現する。
純金の心臓は統治者を囲み守る人民の象徴である----Dali
(このルビーの心臓は、実際にどくんどくんと鼓動するように出来ていた)


以上6点を抜粋したが、作品には上記のようにダリの言葉が添えられている。
なんとなく分かるようなところもあるが、殆どは理解しがたい。

そういえば・・・・・
ダリは自作に対し、「ダリの作品は誰にもわからない。ダリにもわからない」とダジャレで述べていたそうだ。
本当だろうか・・・?

※ちなみに「愛の宝飾展」を開催したミナミ美術館は、1989年閉鎖され、
ミナミ電気も2002年店舗を閉じることになる。



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ガヴォット 2017年07月21日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:10

剣豪小説家とクラシック。

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ILLUSTRATED BY NANTEI

剣豪小説家として一世を風靡した五味康祐氏(1921-1980)は、
一方でオーディオマニアとしても著名だった。
いい音を求めるためなら、家を売っても構わないという徹底したマニアであったが、
音楽評も多数書いていて、その辛口の評論には小説以外の熱烈なファンも少なくなかった。
氏の評論の目は、名曲・大曲に限らず何気ない小品にも向けられている。
例えば、ラモーの「ガヴォット」について・・・

ラモーの音楽には、ルイ王朝の雅びと併せて今聴いても快いリズムがある。
雅は旋律ではなく遂にリズムだ、そう《ガヴォット》は言っている。

ラモーは身分の低いオルガニストから宮廷音楽家として、ついに宿願の貴族に列せられたが、
既にルイ王朝は没落の一途を辿っていたのである。
そういった時代のの王妃や寵姫を、もっとも痛い心で見た音楽が、
私にエレガントな精髄を教えてくれるわけだ。

王朝のみやびは、わが国にもあった。
やっぱり公卿たちは没落し、美貌の姫を武家大名の妃にさし出すことで、辛うじて糊口を、雅の日常を支えた。

でも武力をもたぬそうした京の公卿どもを征服した武士が、結局歯の立たなかったのが雅であった。
雅に抗しかねて滅んでゆくのが徳川幕府であり、明治維新を為したものはつまるところ、
王朝のみやびへの武人の劣等感だったと、私は思っている。

私はこのテーマを主題に小説を書いたことがあった。発想はラモーにある。
この連載小説が私に作家の地位を約束したという世評がもし正しいなら、私はラモーに感謝しなければならない。
むろんこんなことはどうでもいい話だが、ラモーは私にとってどうでもいい音楽ではない。

お通夜には、これも聴かせてほしいのだ。フランス人のピアノなら文句は言わない。
シュワンのカタログではキプニスなる人がハープシコードで弾いている。私はまだ聴いていない。
ハープシコードではどうも低音部の軽快さが、リズム感を横溢させてはくれぬように思い、
聴かないで来ているのだが、誰か聴いた人がいるのだろうか。
ピアノの低域のあの響きの楽しさは、そこにもあるのだろうか?


これは音楽評論というより、上質のエッセーである。
そして、これを読んだ途端、今すぐラモーのガボットを聴いてみたいと思わずにはいられなくなるのだ。




なお、オーディオ狂も併せてご覧いただけたら幸いである。





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料理処「南亭」 2017年07月19日 料理(和) トラックバック:0コメント:30

深川風筍飯。

深川名物といえば浅蜊飯。「深川飯」の名前で親しまれています。
この深川飯に筍を入れたらどうなんでしょう?

深川飯と筍飯、一度で二度美味しいという、
贅沢な混ぜ飯を作ってみようというので、 さっそく浅蜊を買ってきました。
筍は茹でて冷凍しておいた淡竹(はちく)を使います。

まず浅蜊は酒蒸しにしますが、口が開いたら貝と汁を別々にします。
貝は身を剥きハチクは千切りにしておきましょう。
ご飯二合に貝の汁、薄口醤油、ハチク、昆布数センチ、それに水を加えて炊きます。

炊く前に塩気に注意してください。
浅蜊の汁には海水の塩分がけっこう含まれていますから。
ご飯が炊きあがったら、浅蜊の剥き身と生姜千切りとをよく混ぜて召し上がってください。

浅蜊飯A

浅蜊と筍、想像以上に相性がいいようです。
来年あたり深川で売り出そうかなんて、妄想してしまいます。
(そのご飯、とうにありますよ)という声・・・ガチョ~~~ン!!

浅蜊飯B

残った筍と高野豆腐の煮ものも作ってみましょう。
油揚げと一緒に薄い出汁醤油、味醂少々でゆっくりと煮付けます。
味の沁みた高野豆腐がたまりません。

浅蜊飯C

お次は簡単料理です。
さつま揚げを焼いて一口大に切ります。
そこに貝割れと大根おろしを乗っけて、酢のもの酢で頂きます。

浅蜊飯D

もう一品もさっぱり系で、この時期みょうに食べたくなる心太(ところてん)です。
四万十の青海苔をかけて見た目も涼やかに。

しかしこの青海苔、歯にくっつくのが厄介ですね。
歯にいっぱい青海苔をくっつけたまま、ニカーッって笑われますと、
どーっと暑さが増すのでございます。

浅蜊飯F

さて、深川といえば何と言っても江戸三大祭りのひとつ、「深川八幡祭」を忘れてはいけません。
「水掛祭り」とも呼ばれている勇壮な夏祭りです。
今年は三年に一度の大祭で、五十基以上の神輿が練り歩く光景は、まさに壮観といえましょう。

八月十二日から三日間開催されますが、十三日(日曜)がクライマックスの神輿渡御です。
その模様は「熱烈的取材」をご覧ください。
お時間が許せば、是非お越しくださいますようお願いいたします。

なお、南亭も今年が最後かと思われますので、危険な暑さでない限りは極力取材したいと思っております。


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昭和日和(其の五) 2017年07月16日 漫歩 トラックバック:0コメント:24

大島商店街。

農夫としてもリタイア状態になると、時間を持て余すようになった。
そこで散歩も兼ねて昭和の匂いが色濃く残った街並みを、探訪してみようと思ったのである。


五回目は大島というあまり知られてない商店街を訪れた。
最寄駅は都営地下鉄新宿線の「大島」駅だが、初回に紹介した砂町銀座から近い。
砂町からバスで3駅目ぐらいか。

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正しくは「サンロード中の橋」である。

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思った以上に活気がある。
たまたまそういう日時に遭遇したのかもしれないが・・・。

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この商店街の特徴は青物屋が多いことだろう。
通りの半分は八百屋、果物屋かと思うほどだ。

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これだけ多いと値段競争になるだろうから、
当然他よりは安く手に入る筈で、賑わいを見せているのはその所為かも知れない。

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むろん下町らしい惣菜屋も健在である。

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モツ煮の量り売りとは珍しい。

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ここは、なんとパン屋さんである。
とてもベーカリーと呼べないような店だが、ここの「大島あんぱん」は近隣で知れ渡った名物だという。
連れ合いが一度食べて、あんこの量にびっくりしたそうだ。

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商店街が途切れる辺りに「古川酒店」という木造の店が見える。
大正期の建物らしい。酒以外の食品・雑貨も扱って重宝されたに違いない。
私が少年の頃は、こういう商店が町内の中心だった。

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再び駅へと戻りながら、いくつかの路地を覗いてみる。
すると、なにやら気になる店を見つけた。甘味処のような店先である。
近づいてみるとラーメン屋だった。

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閉店間際らしく「あと少しで閉めますが」という店主。
慌ててお品書きをめくる。
店内にはメダカが泳ぐ大鉢があったりと、一風変わったラーメン屋「兼吉」。

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店主は話好きで脱サラであることや、この商店街の衰退のことなど、多少の憤慨も含めてしゃべり続ける。
肝心のラーメンだが、豚骨醤油系の濃厚に見えて飽きのこない絶品スープ。
スープによく合う中太麺も見事なこの店は、遠くからのリピーターも多いという隠れ名店だった。

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小ぶりだが、心地のいい商店街だ。
お土産は惣菜屋にあった、わらじを横に広げたようなどでかいチキンカツ。

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「なに、これ!!」
このチキンカツを見た連れ合いの、第一声である。


それにしても、こう猛暑が続くと、昭和探訪も命がけだ。



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暑! 2017年07月14日 俳句 トラックバック:0コメント:14

夏競馬。

夏競馬

6月最終週のビッグレース「宝塚記念」が終わると、中央競馬はいわゆる夏競馬に突入します。
福島、新潟、函館、札幌など、比較的涼しい地方での開催が8月一杯は続くのですが、
近年はそれらの地方も関東並みの暑さに見舞われるようになりました。

一般的に馬というのは暑さに強い動物ですが、
真夏に人間を乗せて全力疾走しなければならないのですから、
多少涼しいとはいえ、元競馬ファンとしては気の毒に思うこともあります。

何年か前、福島競馬の中継を見ていましたが、
あるレースの発走直前、一頭の競走馬がどたり!と寝転んだことがありました。
関係者たちが慌てて駆け寄り、獣医も様子を診たようですが身体に異常はないということで、
馬もむくりと起き上がり間もなく発走しましたが、彼の着順は残念ながら記憶にありません。

「こう暑くちゃ、やってられないよ。というところですかね~」
番組ゲストのコメントが一同の笑いを誘っていましたが、
馬というのはどこか人間に似たところがあって、可笑しみのある動物なんですね。

そういえば、私が尊敬する先輩H氏はひところJRAの仕事に携わっていました。
そのH氏の話によると、競走馬も負けると非常に悔しがるそうで、
負けて帰ってきた馬房で、壁を何度も蹴飛ばして暴れると聞きました。

馬はとても感情が豊かな動物だといわれています。
最近の研究では、馬が人の笑顔や怒った顔の表情から、
ポジティブとネガティブの感情を認識できることが判ったそうです。


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