晩秋。 2017年10月21日 俳句 トラックバック:0コメント:11

烏瓜。

別れた母さん日傘(ひがらかさ)
物言うて下され日傘
お背戸に風吹く篠藪は
鳥に喰われた烏瓜


母がよくさしていた日傘が、用に立たなくなって物置に捨て置かれてある。
それを見ながら、何かわけがあって里へ帰ってしまった母を慕っている子供の心理を写した、
哀切きわまりない野口雨情の名作童謡であるが、雨情は、
この「烏瓜」という言葉に「すひかづら」と振仮名をしたのが批判された。

雨情としては、「からすに喰われた」と続けてきて、「からす瓜」とやっては、付き過ぎるので、
「すいかづら」という適当な名前を持ってきたのであるが、
「烏瓜」にそういう異名はなく、「すいかづら」という名の植物が別にあったのがまずかった。

しかし、ここの情景は、枯れた晩秋の篠藪の中に赤く熟した「烏瓜」が一番効果的で、
これは取り換えることはできない。

戦後に出た「方言辞典」を見ると、九州の一画で「烏瓜」をヒメゴウリと言うとのこと。
雨情が知っていたら、「鳥に喰われたひめご瓜」としたのではなかろうか。


(金田一晴彦「ことばの歳時記」)より

烏瓜はウリ科の多年草である。果実は秋も深くなって熟すから、
枯れ始めた蔓から垂れ下がっている光景は印象深い。
実、種、そして根も漢方の薬用として使われる。


農園を囲む林では今ごろ木々の間から、赤い卵のような烏瓜がいくつもぶら下がっているのが見える。
烏瓜が色づくと、畑の緑が少なくなり土の茶色が目立ってくる。

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毎年、その年の烏瓜を一本切ってきて、居間の壁に飾っている。
半年も飾っていると枯れてくるが、その枯れもまた捨てがたい趣があるわけで。

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お金のかからないGOODインテリアである。



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富田 2017年10月10日 俳句 トラックバック:0コメント:22

コスモス街道。

千葉市の外れに、広大な実験農場と酪農牧場が隣接した富田という地区がある。
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いつの頃かその一画がコスモス街道と呼ばれるようになった。
夏野菜を収穫し終えた農場にいっぱいのコスモスを咲かせていたからである。

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毎年十月初旬には「コスモス祭り」が開催されるようになり、多くの市民が訪れる。
今年は黄花コスモスを中心にした「コスモス祭り」。

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富田の大半が赤味がかったゴールドに染まる。

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しかしコスモスは薄桃色か白色が、秋桜という言葉にお似合いだと思う。

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下総に山はなかりし秋桜 (南)

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コスモスに隠れませうと三姉妹 (南)

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ふなっしーがコスモス畑から出でし (南)

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コスモスにすっかりそっぽを向かれたる (南)


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九月雑詠 2017年09月28日 俳句 トラックバック:0コメント:22

台風。


台風1





台風2





台風3

管巻(くだまき)=クツワムシ。邯鄲(かんたん)=コオロギ科の虫



台風4

猛烈な台風の中で曾祖母は亡くなりました。私が子供のころでした。
停電の夜、ローソクのほの暗い灯りにもかかわらず、顔に被せた布の白さが今も鮮やかに浮かんできます。

当時、宝塚に近い仁川というところに住んでいましたから、
その台風というのは有名な「ジェーン台風」ではなかったかと思われます。
ジェーン台風は、昭和25年9月3日神戸に上陸した最大級の台風だったようです。

そして過去帖を開いてみますと、曾祖母の命日はちょうど昭和25年の9月3日でした。


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ひょんなところで 2017年09月08日 俳句 トラックバック:0コメント:12

夏井いつき。

いつのことだったろうか、鳥居氏から俳句の同人誌が届いた。
某企業の俳句愛好会が初めて刊行したという句集だった。
「源八」というその会は、鳥居三朗氏を主宰に迎えていたのである。

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鳥居三朗氏については四月一日をご覧いただきたい。
その鳥居氏が主宰の「源八」である。やんちゃな俳句集団が育つ筈である。

冬鵙の貌こはいことこはいこと (猛)

茹栗の冷めてぺこりと凹みけり (俊)

卯の札やおばはんたよりにしてまつせ (耕平)

蝙蝠を五丁目交番で見たよ (兼光)

小春日や碁盤の裏は将棋盤 (良郎)

「源八」から抜粋した句だが、鳥居主宰の《真面目な無頼の精神で遊ぶ》という、
わけのわからない方針を守り続けた、健気な門人たちの秀句である。

その「源八」を久々に開いてみたら、今まで見逃していた頁があった。『あとがき』である。
お気に入り作家の『あとがき』は目を通すが、同人誌・俳誌などはたいがい素通りしてしまう。
ところが、どうした風の吹き回しか源八の『あとがき』を開いてしまったのだ。

驚いたのは、夏井いつき氏の名前を見つけたことである。
俳句を嗜む人はもちろん、そうでない人にも昨今では名前が知られているらしい。
民放のなんとかいう番組でタレントたちの句を、いじり倒すのが評判だという。

私は俳句の世界については太陽系外の人間だから、今でこそ名前は存知あげているものの、
どんな方でどんな句を詠んでおられるのか全く分からないのである。
しかも、この「源八」を贈られたのが十年前のことで、その頃は夏井氏も今のように有名ではなかっただろうから、
『あとがき』を見たとしても、何の感興も湧かなかった筈だ。

ここで『あとがき』の内容を書くよりも、実際の印刷物のコピーを見ていただいた方が手っ取り早いだろう。

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たぶん、夏井氏に選句してもらった方は無論のこと、
俳句に精進なさっている方なら、おお!と思われるに相違ない。
ゴシップ好きの私は、そのお相手「兼光さん」に興味深々なのだが。


最後に同じく「源八」から、鳥居師匠の一句。

朝寝して朝忙しくなりにけり


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暑! 2017年07月14日 俳句 トラックバック:0コメント:14

夏競馬。

夏競馬

6月最終週のビッグレース「宝塚記念」が終わると、中央競馬はいわゆる夏競馬に突入します。
福島、新潟、函館、札幌など、比較的涼しい地方での開催が8月一杯は続くのですが、
近年はそれらの地方も関東並みの暑さに見舞われるようになりました。

一般的に馬というのは暑さに強い動物ですが、
真夏に人間を乗せて全力疾走しなければならないのですから、
多少涼しいとはいえ、元競馬ファンとしては気の毒に思うこともあります。

何年か前、福島競馬の中継を見ていましたが、
あるレースの発走直前、一頭の競走馬がどたり!と寝転んだことがありました。
関係者たちが慌てて駆け寄り、獣医も様子を診たようですが身体に異常はないということで、
馬もむくりと起き上がり間もなく発走しましたが、彼の着順は残念ながら記憶にありません。

「こう暑くちゃ、やってられないよ。というところですかね~」
番組ゲストのコメントが一同の笑いを誘っていましたが、
馬というのはどこか人間に似たところがあって、可笑しみのある動物なんですね。

そういえば、私が尊敬する先輩H氏はひところJRAの仕事に携わっていました。
そのH氏の話によると、競走馬も負けると非常に悔しがるそうで、
負けて帰ってきた馬房で、壁を何度も蹴飛ばして暴れると聞きました。

馬はとても感情が豊かな動物だといわれています。
最近の研究では、馬が人の笑顔や怒った顔の表情から、
ポジティブとネガティブの感情を認識できることが判ったそうです。


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