小噺 2018年05月11日 落語 トラックバック:0コメント:20

南亭独演会

なんてい1
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「らばー」

えーーーお忙しいなかをようこそのお運びで。
んーーー今日はアメリカのお話しでございます.

きょうびの噺家は大変なのでございますよ、お客さん。
国際的なネタもやらなくては、おまんまを食べていけないという、
んーーーわれわれもグローバリのゼーションでなければ、生きてはいけないのでございます。

えーアメリカにニューヨークというお江戸のような賑やかなところがございましてな。
ここにチャーリーという若者が住んでおりましたが、このチャーリーというのが無類の野次馬で。
事件と聞けば誰よりも早く駆けつけ、火事といえば人を押しのけてもまん前に陣取るという。
江戸っ子そっくりの若者がアメリカにもいたもので。

ある日のことでございます、マンハッタンはダウンタウン。
ダウンタウンと申しましてもあの吉本の人気芸人ではございませんよ、お客さん。
浅草と似たような下町と思ってくださいな。

えーーと、そのダウンタウンで喧嘩と聞いたチャーリーは、とうぜんまっしぐらに駆けたのでございますが、
すでに大きな人垣ができておりましてなかなか前に進めない、と思った瞬間、
猛烈な勢いで人を掻き分けるやつがおりまして、その掻き分けた隙間をついてゆきますてえと、
難なく前列に出てしまったからチャーリーは驚くのなんの。

おいらの上手をゆくやつがいるなんて、しかも良く見りゃ娘さんじゃねえか、おい!
そうこうしているうちに最後まで残っていたのが二人。
思わず顔を見合わせたのでございますが、その娘さんの人並み以上の器量に、
チャーリーはだらしなく一目惚れしてしまったのでございます。

さあそれからというものは「ハドソン川に河童が出たそうだ」「んまあ!すぐ行きましょ!」。
「グリニッチ・ビレッジで天狗が暴れてるそうよ!」「そいつあ凄い!急ごうぜ!」
とまあ、野次馬三昧のデートを楽しんでおりましたが、こうなると当然一緒になろうということになりますわな。

で、めでたく挙式の運びとなったのでございますが、たいそう周りの評判となりまして、
式の当日てえと教会の前は押すな押すなの人だかりでございます。
ところが待てど暮らせど肝心の二人の姿が見えません。

それもその筈、二人はあまりにも盛大な自分たちの結婚式見たさに、
群衆の中で押し合い、へし合いしていたのでございます。

おあとがよろしいようで。


この噺はアメリカの小説家オー・ヘンリーの短編「ラバー」を、おおかた頂戴したものです。
登場人物の名前や細かいところは多少脚色しておりますが・・・

ここでいう「ラバー」は恋人のloverではなく、ゴムを表すrubberでございます。
俗語としてのrubberには野次馬と言う意味もあるそうで。
首がゴムのように伸びるからでしょうな。


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またまた 2016年03月02日 落語 トラックバック:0コメント:14

3周年11
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志ん生降臨。

志ん生師匠が、どうしても小噺をやりてえと降りてまいりまして。

小噺というのは、短いちょっとした話のことですが、落語では本題に入る前の枕というのですかね、
わずか1分足らずの話ですが、これでぐん!とお客様の心を引きつけて、
これから始まる演目を大いに期待させようというものですから、
噺家にとっては、たかが枕と侮るわけにはいかないのでございます。

小噺といえばよく例に出されるのが「隣に垣根が出来たんだってね。へえーっ!」
てえのがございますけれども、これを下手な落語家がやると面白くもなんともない。
やはり名人と呼ばれる噺家の「へえーっ!」は、何度聴いても可笑しみがあるものですな。

同じ名人でもその「へえーっ」には、違った味があるのは当然のことでして、
三代目円生がやると生真面目な可笑しさがある一方、円生と人気を二分していた志ん生のは、
「隣に」と発した途端にどっと笑いが来るといったように、大いに異なったわけでございます。

秀才と天才の違いとでも申しましょうか、おまけに破天荒な生き方も愛されたのでしょう。
志ん生が高座に姿を見せるだけで、笑いが上がったといいますから、存在そのものが落語だったようですね。

その志ん生師匠が、どーんと小噺ばかり演りたいなんて、嬉しいじゃありませんか!
お馴染の「へーっ!」から始まります、抱腹絶倒の高座でございます。
お楽しみを・・・。

(なお、録音がよろしくないようで、お聞き苦しいところもございますでしょうが、ご容赦願います。)



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ご挨拶 2015年12月27日 落語 トラックバック:0コメント:74

みなさま良いお年を。

本日をもちまして、居酒屋「南亭」並びに寄席「南亭」は、
年内の営業を終らせていただきます。

みなみなさまには、この一年、
馬鹿馬鹿しい話にお付き合いいただきまして、
まことに感謝の言葉もございません。


お名残り惜しゅうございますが、
これにてしばしのお別れでございます。

珠

来年も懲りずにご贔屓のほど、
よろしくお願い申しあげます。

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●八月の珠姫

また、みなさまには、更なる良い年でありますよう。
心から願っております。


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「南亭」亭主。


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山のあなた 2015年07月17日 落語 トラックバック:0コメント:26







「体が苦しいことをして健康になれるはずがない」という理由で体を動かすこと(特にスポーツ)を嫌っていた。


天才、異才、鬼才、そして超人的努力家。


二代目桂枝雀。


没後、早や16年が過ぎた。





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ちいさな真打ち 2015年06月15日 落語 トラックバック:0コメント:40

馬場亭健丸。

六月のある日のことでございます。

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ところは茅ヶ崎、喫茶とギャラリーを営んでおります《らまこーひー》さんで、ささやかな落語会が行われまして。
演じるのは南亭の跡を継ぐと評判の、馬場亭健丸師匠でございます。

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昨年春からプロの噺家に付いて、いくつか演しものを覚えましたが、これがなかなか筋がよろしい。
すぐに大磯の公民館やら町内のお祭り、はては結婚式に招かれたりと、
みるみるうちに評判となりまして、この日は茅ヶ崎での独演会となったのでございます。

じじばばも生で聴くのは初めてということで、なにはさておき駆け付けたのですが。
いやはや、開演前から会場は押すな押すなの盛況でして、はやくもじじは涙目でございます。

この日の演目は『元犬』でございまして。
犬が願をかけて人間になるというお話しでな。

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えー、話とスカートは短いほうがいいと申しますが。
お暑い中ですからよけい短いほうがよろしいようで。

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昔は犬の名前というものは、見た目でつけておりましたようですな。
黒いからクロ、斑にはブチなんて実にぞんざいなものでございます。

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人間になりたい一心で願をかけておりました真白な犬のシロ。

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ある日、願いが叶ったとみえて、毛が抜けはじめましてな。
ええ?肉球まで消えちまった!嬉しいねえ、どうも。

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人間になったシロは口入れ屋から、奉公先を紹介してもらいますが、
なにせ人間になったばかりで、やることなすことどうもおかしい。

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なんだよなあ、すぐ寝そべっちまうし、人の尻を嗅いだり変だよー、こいつは。

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で、名前はなんていうんだい。シロ?!それだけかい。
上になんか付かないのかえ?
ただシロで・・・。ほう只四郎かい、立派な名前じゃないか。

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で、おとっつあんは何してなさる。
お父っつぁんは酒屋のブチで、お袋は毛並みのいいのについて逃げた。
ますますおかしいよ、こいつは。

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ま、いいでしょ。
これから女中のお元にいろいろ教えてもらいなさい。

おーい、お元は居ないかえ。元は居ぬか。元はイヌかー。
へえ、元はイヌでしたが今朝ほど人間になりました。


噺もさることながら、仕草がすっかり堂に入ってまして、なまじの噺家よりよっぽど聴きごたえがございます。

落語というのは話を丸覚えすりゃいいというものではございません。
いわく言い難い間とか咄嗟の即興とか、また表情、手指の表現などなど、
落語を落語たらしめる独特のものがあるのでして、こればかりはいくら教わっても、さまになるとは限らないので。

いわば天性というものですかな。その点、建丸師匠は実に勘がよろしい。
そして表情の豊かなこと、これは噺家としてまことに恵まれた才能と申せましょう。
この日の高座は身贔屓を抜きにして、見事なものでございましたよ。

後ろのお婆さんなんぞは、まあまあこんな小さな子が・・・
なんて目がしらを押さえておりますし、となりで聞いてた奥さんも笑いすぎたのか、涙を流してる。
いやはや、思わず「これ、うちの孫。うちの孫」なんて言いふらしたくなっちまった。

考えてみますと、子供の頃から娘に落語を聴かせていたという、ロクでもないオヤジでしたからな。
そういうDNAが色濃く伝わったのかと思うと、嬉しくもあり不憫でもありでございます。
しかし、噺家の道を選ぶかどうかは、本人が希むか希まないかにかかっているのでして。
ま、これからいろんな道が見えてくるわけですから、爺がああだこうだ言っても始まりませんが。

ちなみに「馬場亭(ばんばてい)」とは、娘夫婦が住まいする大磯。
その外れにある町名から頂いたものだそうです。

さて、もう一人の師匠を紹介しなければいけませんな。
それはこの方・・・

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