昭和日和(其の十八) 2018年06月12日 漫歩 トラックバック:0コメント:10

宿場通り商店街。

久しぶりの下町探訪である。
今回は青春時代に何度か遊んだ北千住。
もう40年前のことだから、当時の面影が残っているかどうか。

予想どおり北千住駅は、高層の駅ビルに。
駅前も丸井をはじめ新しいビルが立ち並び、初めて訪れたような街に変貌していた。

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駅前通りを西に数分ばかり歩くと、昔からの商店街が残っている筈だ。

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やがて懐かしいアーチが見えてきた。
「宿場通り商店街」はその名のとおり、宿場の名残である。
江戸時代、千住宿は日光街道の起点だった。

芭蕉もここから奥の細道へと旅立ったのである。
千住を発つとき詠んだ「行春や鳥啼魚の目は泪」は有名だが、旅立つ高揚感が無いのは何故だろう。
旅慣れた芭蕉でも初めての陸奥(みちのく)、しかも年齢への不安とともに、永の惜別かという思いが去来したのだろう。

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40年前と様変わりしていたのは当たり前だが、
いかにも宿場町らしい古い建物はいくつか残っている。
ただ、生活の匂いがしない商店街だった。

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再び駅前に戻る。
ここには数百メートルに及ぶ飲み屋街がある。
昔お世話になった居酒屋がまだ健在だったり、何より変らない猥雑さが懐かしい。

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外れまで歩いていると、昼飲みの店も何店かあったりして目の毒である。

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この飲み屋街は全て2階建ての、長大な長屋である。2階は住居だろう。

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ところどころにある細い通路から、裏へ抜けることができる。
この長屋の裏がまた良いのだ。

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いろんな配管がむき出しになったその隙間に、間口の狭い店が挟まっている。
これぞ昭和の遺物といった光景である。

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さて、順序は狂ってしまったが、ランチは珍しいところで戴いた。
先の宿場通り、そのまた路地で見つけた「デリ・コッペ」という洒落た店。
コッペパンに、食べたい具材を挟んでくれる。

フォアグラ、ポークステーキ、チキンカツなど、メニューは十数種類。
フォアグラもいいな・・・迷った末に「生ハムとシーザーサラダ」「こだわり卵」に決めた。

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二階が気持ちいいそうだ。
なるほど、近くの若いママ友たちが集まりそうな空間。

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コッペパンは小さいが、具材を挟むとボリューム十分である。
たっぷりの卵サンド、幸せ!

いつもは、おやじっぽいラーメン屋などで済ますのだが、
どうした風の吹きまわしか、そぐわない店に入ってしまったようだ。


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サクラの国から 2018年05月09日 漫歩 トラックバック:0コメント:20

ツツジの国へ。

満開のサクラがまるで遠い日のことに思えます。
その間、木蓮や花水木が現れては消え
今は躑躅が公園の縁や、住宅の垣根を飾る季節になりました。

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久しぶりに千葉公園に来てみましたが、ここも躑躅、つつじ、ツツジです。
そういえばこの時期に千葉公園を歩いたことはなかったのでしょう、初めて見る光景でした。

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池の小さな島も躑躅で飾られています。

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蓮池には鴨の親子が。
可愛いね!何人かの人がカメラやスマホを向けていました。

蓮の浮き葉も揃ってきました。
あとふた月もすると見事な大賀蓮が楽しめるでしょう。
大賀蓮の様子はこちらをご覧ください。

つつじ


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昭和日和(其の十七) 2018年02月22日 漫歩 トラックバック:0コメント:20

堀切。

堀切は昨年秋に訪れた京成本線「お花茶屋」の隣駅である。
正式には「堀切菖蒲園」という駅名で、その名の通り菖蒲の名所で知られている。

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駅を降りるとクローバー商店街という小さな商店街に出会う。

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京成線に沿った通りをメインとして、そこかしこにクローバー商店街の名を持つ路地が点在している。

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どうということのない一画だが、下町らしい顔つきはさすが京成沿線である。
これといった収穫がないまま、帰りの電車に乗ろうと駅前に戻ったその途中、
広い道路、川の手通りというそうだが、何のへんてつもないと思っていたその通りを一見して驚いたのである。

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寂びた建物が並び、それがいずれも食堂らしい奇観。
俄然、好奇心が湧いてきた。

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近づいてみると創作ラーメンや昔からの中華そばを商う店が6軒、
それに中華食堂を含めると9軒がひしめいていて、通りの向かい側にもラーメン屋が3店はあるような。
さながら下町中華街のおもむきである。
さあ、これは困ったぞ。

どこがいいべか? 
すると、絶対ご婦人は入らないだろうと思わせるような店が目に入った。
だいたいが営業中なのかどうかも怪しい雰囲気である。
だが、べたべたと貼ったお品書きの一番上、ラーメン500円に注目。

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その下に《支那そば風》と書いてあるが、その《風》とは何ぞや!
興味津々の私は、そろそろと店の表戸を引いた。
カウンターに座ったとたん「ラーメン」を注文したのはもちろんである。

大きな丼にやや濁ったスープが鈍い光をたたえている。
チャーシュー二枚と海苔が浮いた、500円とは思えない顔つき。
しかも、オレンジが付いている。

醤油ベースであることは間違いないが、啜ってみるとほのかに独特な香りが追ってきた。
これはもしかして八角ではないだろうか。台湾ではイヤというほど見舞われた匂いである。
しかしまさかスープに八角を入れたのではあるまい。

だとすると叉焼を作る際、中国では八角を用いるが、ここの叉焼も八角を使って煮ているのかも知れない。
その叉焼の香りがスープに移って、独特の匂いになったと考えるべきか。

ただ、《支那そば》を中国固有のラーメンと思うのは間違いで、
支那そばはあくまでも日本が発祥の麺料理なのである。
戦後、《支那》は中国への蔑称と非難されたがゆえに、《中華そば》と呼称を変えた経緯がある。

中国のラーメンは、澄んだ牛のスープにパクチーなどのスパイスを効かしたもので、
カツオだしに鶏がら醤油スープという日本のラーメンとは、全く異なる麺なのである。

中国B
(中国の典型的な牛スープの拉麺)

従って、八角を使ったから《支那そば風》というのは少々安易だと思うが。
ま、小煩いことを言うのも野暮だから、それはご愛嬌として麺を啜る。

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麺は中細のストレート麺。八角の匂いは気にならなくなったが、スープがやや甘く感じる。
チャーシューは案の定、八角を使ったらしく独特の味が滲み出てきた。
ともかくラーメンの故郷《支那》をイメージしたのだろう、これはこれで創造的な麺といえるかも知れない。

まずまずの味だが、オレンジが付いてワンコイン。
まあ、いいだろう。

いつも行き当たりばったりで無為に終わることも多いが、
一軒でもこういう奇天烈な店に出会うと、無計画な探訪を止められなくなるのだ。

懐かしさ★★☆☆☆ 散策に★☆☆☆☆


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昭和日和(其の十六) 2018年01月19日 漫歩 トラックバック:0コメント:26

巣鴨地蔵通商店街。

今年初めての下町散策は、巣鴨を訪れることにした。

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通称「おばあちゃんの銀座」と呼ばれている商店街である。
一度訪れたような気もするし、初めてのような気もする。

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歩いてみるとなるほど、お年寄りの姿と中高年向けの洋装店・小物店が目立つ。
更に目を引くのは真っ赤な肌着を並べた店だった。
今、巣鴨といえばこの赤で全国区になっているようだ。

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赤いものを身につけると「病気除け」「運気上昇」に良いそうで、
近頃では若い人にも注目され始めたと聞いたが、なんと男性も買ってゆくという。

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地蔵通りの中ほどにあるのが「とげぬき地蔵」で有名な高岩寺。
とげぬき地蔵の由来は検索してちょーだい。
本尊は秘仏ということで公開されていない。

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境内の隅には「洗い観音」があって、多くの参拝客がたわしで観音様を洗っている。
この菩薩像に水をかけて、自分の悪い場所を洗うと治るという信仰が続いているそうだ。

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地蔵通りとは、つまるところ高岩寺の参道だったわけで、商店街といっても生活品の商いではなく、
特に食べ物は「巣鴨名物芋羊羹」とか「地蔵煎餅」といった、土産物を売る店が多いのも門前町の特徴だろう。

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約1キロの商店街が尽きるところに「猿田彦神社」という小さな社がある。
猿田彦は旅の神様といわれていて、交通安全、病気平癒、などにご利益があるという。
一般には「庚申さま」の名前で知られている。

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社前には狛犬の代わりに猿が鎮座していた。
狭い境内だけに誰も居ないと、妙な「気」がまつわりついてくるような心地になったものである。

食事はもう決めている。
地蔵通りを散策中に何軒もある食堂も物色した末、
とげ抜き地蔵の近くの、とある店に目星をつけていたのである。

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名前も店構えも気に入った「ときわ食堂」。
やはり人気の食堂らしく、店内は待ち人で一杯だった。
こういう時の一人客というのは有利なもので、あまり待たないうちにカウンター席へ案内された。

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正しい食堂である。メニューが多い。
鯵フライ定食が630円。程よい値段だからこれにするか。
注文を取りにきた店員が「定食の鯵フライは三枚ですが、よろしいですか?」と言う。
「三枚は多いな」「一枚からでも大丈夫ですが」「なら二枚にしてもらおうか」「承知しました」。

なんでもご飯と味噌汁それにお新香が270円だそうで、
それに単品を好きなだけ頼んで定食にするのが常連さんの流儀らしい。
「すると鯵フライ二枚だから510円で・・・」素早く胸算用する。

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混雑もあってだいぶ待たされたが、揚げたての鯵フライは衣がカリカリと、
中はふっくらしていて理想的なフライといっていいだろう。
魚はすべてその日の朝、築地で仕入れてくるようでフライといえども新鮮さが伝わってくる。

女性のグループは刺身やフライでビールを呑んでいたし、おっさんたちも日本酒で上機嫌。
悔しいが昼の酒は瞬時に足腰を取られる上、帰路は長いわけだから我慢する。

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近くに塩大福で有名な店がある。
お土産に四つばかり包んでもらう。

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あまり甘いものを食べない私だが、アップルパイと塩大福は好物である。
そういえば昔、大福で酒を呑むという上司がいた。
気持ちの悪い話だと思っていたが、塩大福だったら辛口の酒でいけるかもしれない。

懐かしさ★★★☆☆ 散策に★★★★☆

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昭和日和(其の十五) 2017年12月06日 漫歩 トラックバック:0コメント:10

京成小岩。

江戸の町から隅田川を越えたら川向こうと言われていた。両国、深川などがそうである。
そこから更に荒川をまたぐと葛飾村で、今でこそ葛飾区として東京23区に数えられているが、
もともとは下総国(現在の千葉県北部)の一部なのであった。

その葛飾区に小岩という大きな街がある。
JR線は小岩、新小岩。京成線には京成小岩と三つの駅を持つ。
七月の暑い盛りにJR小岩駅周辺を散策したことは、記憶に新しいと思うが、今回は京成小岩に降りてみた。

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駅前通は小さな地方都市という感じで、銀行やクリニックもあるごくごく普通の通りだったが、
200メートルほど歩くと、「千代田通り商店街」と書いたゲートにぶつかる。

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先ほどの通りから一転、細長くていかにも下町商店街の趣だ。

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日よけシェードを蜜柑色に統一して造花を飾った、活気ある商店街に見えた。

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ところが、歩くにつれて固くシャッターを閉じた店舗が目立つのである。

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どころか、跡形もなく空き地になった一画の寒々しさ。

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でも、下町のランドマークのような洋装店は健在だ。

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何度か商店街を廻って始めて気がついたのは、衰弱したところでも四つ辻の店に活気があるということだった。
たしかに四つ辻は東西、南北からの往来が交差する場所だから、古来より市が立つ好立地であった。

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商店街も途切れるところ、いかにも下町らしい光景。
小春日和の往来に出て日向ぼっこ・・・・暇そうですね。

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駅の反対側に出る。飲食店の多い路地が一本。

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その中に蕎麦屋を見つけた。お品書きに「中華そば」がある。
蕎麦屋のラーメンはシンプルで飽きのこないスープが魅力だ。

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しかし、蕎麦つゆに後から鶏がらを付け足したようなスープは、基本的にいただけない。
ここの中華そばがファンだという方には申し訳ないが。


懐かしさ★★★☆☆ 散策に★★☆☆☆


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