昭和日和(其の十二) 2017年10月19日 漫歩 トラックバック:0コメント:18

上総牛久。

今回は趣を変えて房総の商店街を訪れた。
房総半島の中央を横断するように走る小湊鉄道。

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沿線には養老渓谷や大多喜城があり、鉄道ファンにも人気のあるローカル線である。
その中ほどにあるのが上総牛久。房総半島の交通の要衝として古くから栄えてきた。

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改札口には牛久の「牛」にちなんだのか、親子の牛の小さな彫刻が飾ってある。

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駅前の商店街は短い。昔からの繁華街は突き当たった街道筋にある。
が、いきなり廃屋が出迎えた。

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街道の店々は九割がた廃業していて、まるで遺跡の街である。

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大きな呉服屋、また京染物屋などを目にすると、改めて在りし日の繁華が偲ばれる。

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まだ細々とでも商いを続けている店がある。
「生きてますか・・・」声をかけたくなる。

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どっしりとした旧家は旅館「大津屋」。
大正11年築という文化財級の建物である。
牛久が大多喜街道の大きな宿場町だったという、その名残りであろう。

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玄関奥に座っていた老婦人に断って、中の写真を一枚撮らせてもらった。

こうして、想像もしなかったような侘しい商店街を散策したのだが、困ったのは昼食である。
食べ物屋といえば、駅前に蕎麦屋と食堂を見かけたが、いずれも店を閉じていて、
街道筋の商店街に至っては、食の匂いのするところは皆無という有様。

もっと驚いたのは行けども行けども、
コンビニが見当たらなかったことである。

コンビニのマーケティングはシビアだから、どのコンビニグループも、
牛久では売り上げが望めないとあって進出を控えたのだろう。
ともあれ乗り換え駅の五井まで空腹を我慢しなければならなかったのは、大誤算である。

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そんな私の腹具合とは無関係に、ローカル線ならではの長閑な風景が過ぎてゆく。

郷愁★★★★☆ 散策推奨★★★☆☆

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昭和日和(其の十一) 2017年10月07日 漫歩 トラックバック:0コメント:12

お花茶屋。

名前に惹かれてやってきた。
江戸時代、八代将軍吉宗が鷹狩りに興じていたとき、腹痛を起こした。
その時、名をお花という茶屋の娘の看病により快気したとの言い伝えがある。

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この出来事により、現在の地名を賜ったとされている。

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京成電鉄の「お花茶屋駅」で降りると、一直線の商店街が見えてくる。ありふれた商店街である。

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商店街巡りも10回を越えると、見所のコツが掴めてきたようだ。
それと各商店街によって多少の特徴があることも分かってきた。
青物が多い商店街、惣菜屋が目立つ商店街などなど。

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そしてどの商店街でも絶対に外せないのが、洋装品の店だろう。それも谷中銀座的な。

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写真館、豆腐屋もスタンダードな存在だということが、だんだん分かってきた。

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こういう風景には、とてもノスタルジーを感じる。

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どうやら、お花茶屋商店街には、飲食店が多いようだ。
たぶん私立の大学が近いからだろう。
今は店名が定かではないが、スナックらしい店もあったようだ。

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飲食店といっても、昔から地元で商売していたような店は少なく、
おおかたがチェーン店だったから、昼食には大いに迷ったが、無難な蕎麦屋で済ますことにした。

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今風だが気持ちのいい店である。
ざる蕎麦セットを注文する。蕎麦の相棒は「親子丼」の鶏抜き。いわゆる卵丼だな、わははは。
・・・卵丼なんて食べるのは何十年ぶりだろう。

貧しい頃は(現在も決して裕福ではないが・・・)、この卵丼がご馳走だった。
なにせ『卵イノチ』の南亭である。
ゆで卵、目玉焼き・・・特に黄金色の卵丼。言葉にするだけで喉が激しく上下するのだ。

少量の蕎麦、半盛りの卵丼。
私にとって不味かろう筈がない。

お花茶屋、いいところだ!
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今回から独断と偏見で、商店街の評価を下してゆく。
昭和らしさがどれだけ残っているか、散策のお奨め度は?その二つの評価を★で表すことにした。
★五つが最高点である。

この[お花茶屋は]・・・
郷愁★★☆☆☆ 散策推奨★★☆☆☆ 

なお過去十回にも改めて評価を加えてみたので、興味がある方は遡っていただきたい。


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昭和日和(其の十の弐) 2017年10月01日 漫歩 トラックバック:0コメント:20

続・甘酒横丁。

甘酒横丁を後にして、通りの向かい側を歩いてみる。

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昼は近辺のサラリーマンやOLで混み合う「玉ひで」が見えてくる。
「玉ひで」といえば親子丼があまりにも有名で、遠くからもわざわざ食べに来るほどの人気店である。

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路地には小粋な料亭が潜んでいたり、また別の通りには大正八年創業と書いた喫茶店などなど・・・。
この街は昭和どころか、大正・明治からの歴史を背負った店が少なくないようだ。

そういえば、ここは屋外博物館のように歴史的な建物が「陳列」されている。
中でも目立つのは看板建築という独特の外観を持つ建造物だろう。

看板建築とは木造の表面に銅版やタイルを貼った家屋である。
大正12年の関東大震災で焼失した商店街が復興する際、火災の延焼を防ぐため考案された。

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人形町には至るところにこの看板建築が残っている。

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看板建築以外にも珍しい年代ものの家屋が多く、建物ウオッチャーには垂涎の街かもしれない。
こうした歴史的な建物が次から次と現れるものだから、ついあちらの路地、こちらの路地と歩いてしまう。
疲れること夥しい街である。ここらで区切りをつけて一休みしよう。

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そういえばまだ昼を食べてない。先ほどの「玉ひで」にするか・・・
と、その並びに、明治45年創業という洋食屋が目に飛び込んできた。
西洋御料理「小春軒」、名前もいいし佇まいもいい!

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とんかつ、メンチカツ、海老フライ、ハンバーグ、カツカレー・・・。
それら正しい洋食メニューの中から、オムレツを注文した。

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ケチャップもデミグラもかけてない美しいオムレツ。
たっぷりの玉ねぎ、野菜、ミンチが詰まって、ふわふわと。そして実に優しいオムレツだった。
さすがは100年の間親しまれてきた洋食屋の味である。

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「小春軒」の斜め向かい側が、谷崎潤一郎生誕の地という。
そのビルの上に、「幻の羊かん 細雪」の看板があった。
谷崎の作品にちなんだ商品名だろうけど、その下にも周りにも売っている店が見えない。

後で調べてみると、確かに「湖月」という菓子屋が羊羹を売っていたそうだが、
ご主人が亡くなって跡を継ぐ人も居ないことから、店を閉じてしまったらしい。
まさに「幻」となったわけだ。

こうして人形町の魅力を再確認したのだが、今度は夜を探訪したいものである。

郷愁★★★★★ 散策推奨★★★★★  


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昭和日和(其の十の壱) 2017年09月30日 漫歩 トラックバック:0コメント:12

甘酒横丁。

昭和散歩、10回目を記念して(たかが10回だぞという声あり)、
とっておきの街、人形町を紹介しよう。
現役時代はときどき昼ご飯を食べに行った街だ。

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地下鉄人形町駅を出ると時計台が見える。
一時間おきに人形が出てくるからくり時計である。通りを挟んで2基づつ設置されている。
人形町はこの時計台が表しているとおり、人形師が多く住んでいた町だった。

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その時計台がある表通りを曲がると、甘酒横丁になる。
明治初期に横丁の入り口に甘酒屋があったことから 名づけられたという。

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荒物屋あり、靴屋、菓子屋などいかにも下町という商店が並ぶ一画。
日本橋からほど遠くないところに、こんなレトロな商店街が残っているのが不思議に思える。

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「双葉商店」は明治40年創業の豆腐屋で、甘酒も売っている人気店である。

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外国の若者たちが『甘酒ソフトクリーム』を舐めていた。

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横丁の中ほどで左に折れると、牛しゃぶ、会席料理の名店「今半」が見えてくる。

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近くにはどっしりとした古民家酒場「筑前屋」。

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このあたりは風情のある店が多い。

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横丁の入り口には、百年の歴史を持つ「人形焼本舗板倉屋」。

人形町がこんなに素敵な街とは思わなかった。


次回に続く・・・


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猿も木から 2017年09月18日 漫歩 トラックバック:0コメント:20

作草部(さくさべ)。

久しぶりに爽やかな秋晴れの一日。
気持ちの良い道を散歩したいものと、「作草部坂通り」にやってきた。

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今年の5月に紹介したさかい珈琲のある通りだ。

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直線で約1Kmだから、ゆっくり歩けば30分もかからないだろう。
歩いてみると、折からの秋日和とあって予想以上に心地の良い通りである。
澄んだ空にぽっかり浮かぶ雲、そして美しい並木。

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坂通りが途切れる東寺山に差し掛かったその時、
百日紅に縁取られたという形容がぴったりの用水に出くわした。

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世の中はそろそろ百日紅の終わる時期だが、
ここではまだ真紅やピンクの百日紅がモールのように用水を飾っていた。
最盛期はさぞ壮観だろう。来年はその頃に是非訪れたいものだ。

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ただ、水色のフェンスや用水に渡した柵のようなものが無ければ、
それこそ「インスタ映え」する風景になるのに・・・

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用水の近くで小じんまりした喫茶店を見つけた。
カフェではなく正しい「きっちゃてん」だ。

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通りの景色と光が実に心地良い。

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しかも珈琲がDトール並みの値段とあっては、いうことなし。
歩いてこその発見であり、果報である。

ところで、先ほどの用水だが。
猿が三匹ばかり溺れかかっていた。

信じる者に幸多かれ。



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