サントリー美術館 2018年01月09日 美術 トラックバック:0コメント:16

フランス宮廷の磁器。

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六本木の旧防衛庁跡地が再開発され、東京ミッドタウンとして開業したのは平成19年のことである。

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開業と同時期、そのガレリア館に赤坂のサントリー美術館が移ってきた。
現在、表題の展覧会が開催されている。

副題が「セーブル、創造の300年」とあるが、案内パンフレットによると、
「セーブルは1740年、フランス国王ルイ15世の庇護を受けて王立となった磁器製作所である。
宮廷の彫刻家や画家たちが次々に考案する、洗練された形や絵柄。
磁器というデリケートな素材の上に、いかなる形や絵柄も実現する、技術者たちの卓越した妙技。
両者の真剣勝負が創り出すセーヴル磁器は、優雅で気品に満ち、またたく間にフランス内外の王侯貴族を虜にした。
以来、セーヴル磁器製作所は今日までヨーロッパ磁器の最高峰の一つに君臨している。」

ということだった。

マリー・アントワネットが愛用した食器や、花壷などを始めフランス宮廷文化の華やかさを偲ばせる磁器の数々。
見てゆくと少々食傷気味になったが、セーブルという名前も知らなかった私である。
食傷などとよくいえたものだ。

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上は《乳房のボウル》、下は《カップとソーサー》。

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第二室は近現代のセーブル作品が展示されている。

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ここは撮影自由な部屋でその突き当たりに、
草間弥生さんのスケッチとセーブルのコラボ作品《ゴールデン・スピリット》が飾られている。
草間さんらしい奔放で妖しい塑像は、この日一番の収穫だった。

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このあたりのレストランは、私が苦手な新しくて横文字だらけの店がほとんどである。
なので六本木交差点を渡り、飯倉方面の古い通りへ向った。
アマンドの坂を降りると六本木で呑んだ後は必ず〆で食べた、京風饂飩の店がある筈。
ところが、それらしい痕跡すら見当たらない。

最後に入ったのは20年前だから、その間の消息を知るわけはないが。
いかしこうなると蕎麦やラーメンでもというより、意地でも饂飩を食べたくなる。
表通りに出て物色していると、ショーケースに饂飩を並べた店がある。

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饂飩割烹の「つるとんたん」。いいじゃないか。
関西風というのも嬉しい。さっそく「しっぽくうどん」なるものを注文する。

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洗面器のように大きな丼には驚いたが、鴨肉、揚げたはんぺん、湯葉などが入った汁は、
関西特有の薄味でありながら上品なこくがあり、もちもちした細い麺に絡んで実に美味しい。
饂飩への執着から一挙に開放された気分になった。

ところで、みなさまは六本木というとどんなイメージをお持ちだろうか。
芸能人や外人の多いセレブな街を想像されるかも知れないが、
一歩裏に入るととんでもない光景が広がっているのである。

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地下鉄六本木駅からわずか2分足らずのところにある、広大な墓地を見て仰天しない人は居ないだろう。
江戸時代、この辺りはぽつんぽつんと武家屋敷がある他は、田畑や野原の多い土地で、
六本の松の木が目だっていたことから、六本木の名前が付けられたという説もある。

墓地はその頃の確かな名残であろう。
面白いといっては不謹慎だが、墓に背を向けた雑居ビルにあるバーの手洗い。
その窓から一面の墓地が見下ろせるという、異次元の趣向はいかがだろうか。


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クリスマスカード 2017年12月20日 美術 トラックバック:0コメント:50

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今年で8枚目。
ナンテイ・オリジナルのクリスマスカードです。
お持ち帰りはもちろん、メッセージカード、PCの壁紙など、
どのようにお使いになっても自由です。

なお、以前のイラストも載せました。
初めてご覧になった方はこちらもご自由に。


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M E R R Y  C H R I S T M A S
Xmas 2



M E R R Y  C H R I S T M A S
Xmas 1 



ILLUSTRATED BY NANTEI



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されど、ちゃりんこ 2017年12月11日 美術 トラックバック:0コメント:10

佐倉市美術館。

佐倉は何度も訪れた町ですが、佐倉市美術館は一度も入ったことがありません。
電車のポスターで面白そうな企画が告知されていたので、さっそく行ってみることにしました。
美術館の正面には、瀟洒な煉瓦作りの建物が座っています。

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大正7年に「旧川崎銀行佐倉支店」として建てられたのを、
平成6年に市立美術館エントランスホールとして利用することにしたそうです。
なるほど昔の銀行、こんな姿が多かったような。
ここで展示されているのが、次のような企画です。

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自転車の歴史と未来の姿について紹介する、ユニークな展覧会。
今は最も身近な乗り物になっている自転車ですが、知っているようで知らなかったことが多いのですね。
まず、自転車が生れたのは200年前ということもちょっと驚きでした。

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最初の自転車はペダルやギヤもなく、脚で地面を蹴って動かしていたそうで、
また中にはサドルの位置が1メートルを超すのもあり、どうやって跨ぐのか想像を逞しくしたり・・・

自転車C

近未来の自転車は、非常にSFチックなデザインのものや、二人が並んで乗れるミニ馬車のような型の自転車。
障害を持つ人が動かしやすい機能を備えたものなど、まだまだ夢が広がりそうです。
たかが自転車と思っていましたが、脚力という地球に迷惑をかけない動力エネルギーは稀有のものです。
考えさせられる企画ではありました。

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この美術館がある通りは新町といいます。
11万石の城下町だった佐倉には、歴史を感じさせる地区が多く残っており、新町通りは商人の街だったようです。

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100年以上の歴史を持つ商店もいくつかあって、散策路としてもお薦めです。

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この他にも武家屋敷が集まる宮小路町。

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そして佐倉藩主堀田家の屋敷、西洋医学発祥の地「佐倉順天堂」の記念館など、歴史的見所がいっぱいです。

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殊に「国立民族歴史博物館」は、歴史好きから「歴博」の名で親しまれていますが、
知識が浅い私でも、一日居て飽きないミュージアムです。

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美術館の帰り道、とてもいい喫茶店を見つけました。
京成佐倉駅に近い路地にある珈琲専門店「わげん」です。

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気持ちの良い店内ですし、なにより本格的な珈琲の美味しさは格別でした。
そういえばこの頃、コーヒーマシーンから垂れてくるものが多かったので、なおのことだったのでしょう。


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表慶館 2017年11月26日 美術 トラックバック:0コメント:24

フランス人間国宝展。

上野を訪れたのが丁度ひと月前。
木々はほんの僅かに色づいたという感じだったが、この日は鮮やかな紅葉、黄葉に一変していた。

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再び国立博物館のゲートをくぐったのは「フランス人間国宝展」を観るためだった。
国立博物館は正面に本館、右が東洋館、左は表慶館、
そして本館の左奥に「運慶展」を開催していた平成館。という配置になっている。

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今回の「フランス人間国宝展」は表慶館で開催されたが、私がこの表慶館に入るのは初めてだった。
明治42年(1909)に開館した、日本ではじめての本格的な美術館という。
中央と左右に美しいドーム屋根をいただき、明治末期の洋風建築を代表する建物として重要文化財に指定されている。

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優美な曲線の階段、高い丸天井など見事な建築美に見とれながら薄暗い会場へ。

パンフレットによると、フランス人間国宝(メートル・ダール)は、
日本の人間国宝認定にならい、伝統工芸の保存・伝承・革新を旨として、フランス文化省により1994年に創設された。
「フランス人間国宝展」は、この「メートル・ダール」の認定を受けた13名の作家と、
まだ認定はされていないものの、素晴らしい作品を制作している2名、合計15名の作家を紹介する世界初の展覧会。

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ジャン・ジレル作:天目茶碗
フランスB
ロラン・ダラプス作:チューリップ・グラス    ジャン・ジレル作:陶盤風景

陶芸、金工、革細工、傘・扇、硝子、布、それぞれの名人たちが作り上げた作品は、
工芸の域を超えた、至高の芸術品というべきであろう。
どの国でもそうだが、工芸は王侯貴族の庇護のもとに発展してきた。
有数の王朝文化を誇ったフランスも、独特なセンスの名品を数多く生み出してきたのである。

平成館の「運慶展」から比べると、驚くほど観客は少ない。
小さな器の一つ一つまで、ゆっくりと鑑賞できたのは何よりだった。

上野公園には大道芸人が多い。
この日もあちこちでパフォーマンスを披露する人の姿が見られた。

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チェロを弾く外人も居た。
初冬の冷気の中、チェロの温かな音色が沁み入るように響く。

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上野に来ると習性のようにアメ横へと足が向いてしまう。
そして吸われるように昼呑み横丁へ潜入するのが常なのだが、
アル中かと思われるのも本意ではないので、今回は昼飯だけにしよう。

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アメ横の路地は幾重にも入り組んでいて、歩いたことのない道がまだまだ多い。
とある角にこれぞ昭和と思われる喫茶店を見つけた。
表のメニューにはカレーライス、ピラフ、スパゲッティなどの写真が載っている。迷わず入ってみる。

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サーモンステーキランチを注文する。日本風にいえば鮭定食だ。
一時代前は、こういう洋食屋を兼ねた喫茶店が多かったものである。
味はだいたい想像できるから、安心この上ない。

江戸っ子らしいきりっとした女将に聞くと、昭和43年からやっているという。
半世紀か・・・
こういう文化財的な店が、どんどん姿を消している。


展示会場の写真は、HPより借用したものです。


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上野国立博物館 2017年10月23日 美術 トラックバック:0コメント:22

運慶。

上野の木々がわずかに色づいてきた。
何日かぶりの晴天とあって、平日にもかかわらず人が多い。

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国立博物館では史上最大と謳った「運慶展」が始まっている。
久しぶりの晴れ間と、滅多にない運慶展とあってたいへんな行列である。
40分待ちは辛いが、3年前の「キトラ古墳壁画展」では2時間並んだことがある。

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長時間並ぶたびに思うのだが、こういうときのミュージアムの対応は無慈悲だ。
長い間立っておれない高齢者や、体の不自由な人はご遠慮くださいと言っているようなものではないか。

やっと館内に導かれた。会場もごった返している。
仏像の腰から下の造作も見えなければ、その下に書いてある説明書きも読めない。
小さな作品は飛ばして、大きな仏像だけを鑑賞することにした。

学生のころ運慶、快慶とその作品について学んだことはあるが、
恥かしながら実際に見るのはこれが始めてだ。

運慶A

国宝「大日如来坐像」の荘厳さもさることながら、「四天王立像」の迫力には度肝を抜かれてしまった。
高さ2メートルを超える広目天、増長天、持国天、多門天それぞれの、
豊かな表情と動きのダイナミズムは圧倒的である。

運慶は動的な記憶力に優れていたという。
大日如来像なども動きの無い坐像であるにも関わらず、なぜか動きの一瞬を捉えたように見える。

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同じく国宝「天燈鬼立像」も躍動感溢れた傑作。
角度によって眼光も生々しく、今にも動き出しそうだ。

運慶C

弟の快慶との共作「聖観音菩薩立像」。
鮮やかな彩色が施された、まことに耽美的な観音像である。

仏像に限らず彫刻は後ろから見ると、思わぬ発見に感動することが多い。
若い頃よく奈良の社寺を廻ったが、ある年「百済観音」を拝観したいものと法隆寺を訪れたところ,
百済観音堂は大修復の最中で、観音様は表から拝めなくなっていたが、
後ろ姿は拝めるということで、細い廊下を辿って観音堂の裏手に廻ったのだった。

くぐり戸をくぐると、突如として大きなシルエットが目に飛び込んできた。
その時の全身に粟立つような感動といったら!
逆光の中に浮かび上がった観音像の優美な肢体、二の腕にまつらう天衣の流れるような曲線・・・。
それら全てに恍惚となった記憶がある。

今回もその感激を思い出しつつ、仏像たちの後ろに廻ってみたのである。
すると四天王も観音菩薩も、全く違う見え方になった。
背中の窪み、脹脛(ふくらはぎ)の張り、そして腰のくびれようなど、
まるで解剖学を先取りしたような骨格と筋肉のリアリズムはどうだ!
まこと、運慶はミケランジェロに劣らぬ天才だと思ったのである。

こうして初めて運慶の洗礼を受けたのだが、
混雑と運慶の巨大なエネルギーにすっかり疲労困憊してしまった。

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上野公園には最近、オープンなカフェが増えている。
いずれも心地良さそうな店である。疲れたのでよほど立ち寄ろうかと考えたが、
こういうところはどうも南亭には似つかわしくないし、思惑もあったので上野の坂を下りた。

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アメ横の裏通りに、半露天の居酒屋が何軒か固まっている。
いつ覗いても盛況で、腰掛ける隙間も見当たらず、指を咥えて通り過ぎるのが常だった。

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この日は「浜ちゃん」という店に多少の空きを見つけたものだから、犬のように駆け寄ったのである。

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「梅サワーを、ワンワンッ!」
餌は鮭ハラス焼きと、穴子天だ。ウ~、ワン。

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周りの居酒屋の、ご機嫌な光景も極上のつまみである。

しかし、毎度のことながらカルチャーとの、この落差!
「どうしてこうなるの!?」である。


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