市川 2018年06月18日 美術 トラックバック:0コメント:18

東山魁夷記念館。

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京成本線中山は日蓮宗大本山「法華経寺」の門前町である。

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その法華経寺の境内を横切り、住宅街のだらだら坂を登ったところに、東山魁夷の業績を記念する建物がある。
東山魁夷はあまりにも有名な大家なので、逆に関心の薄い画家だったが、
どういう風の吹きまわしか、その記念館を覗いてみようと思ったのだ。

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何の前知識も無しに来てみると、まず西洋の館さながらの佇まいに驚いた。

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記念館の一階は東山魁夷の生涯を俯瞰できる展示室。
二階には三十点あまりの作品が飾られている。

東山

東山魁夷といえば、湖面に木立が映った上下対称の作品で知られている。
いずれも静謐で厳しい風景画だが、

東山2

生活の匂いがする「古道具屋」のような静物画も描いていて、
もちろん日本画家として水墨画も何点か残している。

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同じフロアにシックな休憩室があり、下のカフェから珈琲などを運んでもらえるそうだ。

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1階の奥にはカフェがある。「葵カフェ」という。
カフェというより館のダイニングルームといった趣で、表には庭園を望むテラス席も。

サンドウィッチと珈琲を注文して、そのテラスでゆったりしようと思ったのだが、
この日は風が強く、ウェットテシューが飛んでゆくような始末。
結局、室内で食べることになった。

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サンドウィッチは、お笑いあれ。
またぞろ卵サンド!
卵というよりオムレツサンドである。

生クリームで溶いた卵をスクランブルした、ふわとろのオムレツは品のある薄味で、
添えられたケチャップを少量付けながら口にすると、まことに極楽の味わいであった。

絵画に興味のある方でなくても、上質の時間を過ごせるこの記念館。
親しいお仲間と一度は訪れてほしい所だと思う。


東山魁夷は亡くなるまでの半世紀を市川市で過ごしている。
ちなみに市川市は文人、芸術家が多く住んでいたことで知られている。
北原白秋、永井荷風、五木寛之、井上ひさし・・・
また彫刻の大須賀力など枚挙に暇が無いほどである。

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東京近代美術館 2018年03月02日 美術 トラックバック:0コメント:24

熊谷守一展。

東西線「竹橋」で降りるとすぐに、国立東京近代美術館が見えてくる。
日本で最も好む画家の一人、熊谷守一のほぼ全作品を網羅した展覧会が開催されている。

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熊谷守一の作品は極度に単純化され、ぎりぎりまで象形化されているといってもいいだろう。
しかも対象を観察し尽くした末の象形化なのである。
たとえば、下の《猫》という作品。

熊谷A

まるで子供が描いたような単純な絵だが、腹ばいになったが故の飛び出した肩の骨、べったりとした背中。
そして内臓が横に広がったお腹など、まことに素晴らしい観察というしかない。

熊谷B

《雨滴》は、自宅の庭で雨粒が落ちる一瞬を的確に捉えた作品である。
しかも、わずかな色で表現した見事さ。

熊谷E 熊谷C - コピー

熊谷守一は97歳で亡くなるまでの20年余り、自宅を出ることは無く、
その鬱蒼とした庭を飽かず眺めて暮していた。
ただ眺めていたのではなく、小さな生き物たちの一挙手一投足を観察し、
太陽、月、雨、風・・・自然の森羅万象に目を凝らし続けたのである。

熊谷D

籠る前はもちろん風景画も描いていた。温かな作品が多い。
もともとは東京美術学校で青木繁と並び称された、気鋭の写実派画家だった。
それが50歳を超えるころから『下手も絵のうち』と公言して、単純化された絵画を目指すようになったのである。
以降、世間にも画壇にも媚びず、仙人のような画境を貫いた。

今回は初期の写実作品も含めて約300点という一大回顧展である。
好きな画家ということもあるが、近年、最も充実感を覚えた展覧会であった。

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近代美術館と通りを隔てたところに、毎日新聞社がある。
昼食はこの地下にある食堂街にしよう。

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丸亀製麺に似たうどん屋を見つけた。

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饂飩の他に丼もあって、「餡かけカツ丼」なるものを注文する。
ご飯とミニカツの上から、卵で溶いた餡をかけた丼だが非常に食べやすい。老人には。
味も悪くない。

毎日新聞社は皇居に面している。
皇居といえば東御苑の梅は今が見頃ではなかろうか。
皇居見学の入り口、平川門は歩いて僅かのところにある。

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しかし!月曜と金曜は閉園?いかにも無計画な行き当たりばったりの私らしい。

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大手門を過ぎて和田倉門までくると、美術館の疲れが出てきた。
ここに無料の休憩所があるので、一休み。

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すると休憩スペースのウッドチェアやテーブルに無数の雀が止まっていた。

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ひとつの壮観というべきか・・・
熊谷画伯が見たら、どうしただろう。


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精緻 2018年02月20日 美術 トラックバック:0コメント:14

エッチングの世界。

エッチングとは銅版による版画・印刷の技法です。
1400年半ば頃から銅版の凹版画が登場し、1500年頃には技術的にも優れたものが多く作られるようになりました。
その頂点の域に達したのがドイツのアルブレヒト・デューラーです。

その後、ブリューゲルを初め多くの画家もエッチングの作品に取り組んできました。
わが国でも池田満寿夫、長谷川潔、浜田陽三といった世界的な銅版画家が生まれています。

一方でこのエッチングは、その精緻な表現によって商業目的にも使われてきました。
写真が普及する前の通販カタログなどがそうです。
特に欧米の通販カタログは、家具から服飾、食器、宝飾品に至るまで銅版画を網羅した豪華なものでした。

当時は専門工房で職人技の商業用銅版画が大量に彫られていたのです。
例えばニューヨークの老舗百貨店メイシーズ(1851年創業)は、200ページを超える上製本を発行していましたが、
中の商品案内は全て銅版画という驚くべきカタログでした。

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今日、お見せするのは実際のカタログではありませんが、当時の作品を集めた珍しい一冊です。
その中からいくつかをご覧になっていただきましょう。

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残念ながらシャープにスキャンされていませんが、実際は写真よりずっと線が細密で質感も見事なのです。
何枚か切り取って部屋に飾りたくなります。

絵画も華やかな脚光を浴びる芸術作品とは別に、ポスターや新聞広告あるいは図鑑のために、
写実の技巧を振るってきた名も無い名人が、星の数ほどいたわけですが、
今やデジタルに取って代わられようとしています。


ちなみにこのように珍奇な図画集は、神田神保町の「南洋書房」で手に入れることができます。
神保町といえば有数の古書店街ですが、丁度のその入り口・駿河台下にある洋書専門店です。

洋書専門の店は神保町に数軒ばかりありますが、「南洋書房」には美術書が多く、
それも純粋美術ではなく、「魔術の歴史」とか「錬金術」あるいは「風俗史」「邪神の世界」といった、
怪しい図画集・図鑑がふんだんに揃っているのです。

東京に住んでいた頃、古書店街散策の折は必ず訪れて、雑然と並べられた書棚を物色していたものです。
そうやって求めた珍奇な書物が何冊かあります。
ときどきそれらを捲りながら、ウィスキーを舐める時間もなかなか乙なものでございます。

このほかに所有している図画集・図鑑は、いずれも顰蹙を買いそうなので、
ブログでの紹介は自粛させていただきたいと思います。


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サントリー美術館 2018年01月09日 美術 トラックバック:0コメント:16

フランス宮廷の磁器。

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六本木の旧防衛庁跡地が再開発され、東京ミッドタウンとして開業したのは平成19年のことである。

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開業と同時期、そのガレリア館に赤坂のサントリー美術館が移ってきた。
現在、表題の展覧会が開催されている。

副題が「セーブル、創造の300年」とあるが、案内パンフレットによると、
「セーブルは1740年、フランス国王ルイ15世の庇護を受けて王立となった磁器製作所である。
宮廷の彫刻家や画家たちが次々に考案する、洗練された形や絵柄。
磁器というデリケートな素材の上に、いかなる形や絵柄も実現する、技術者たちの卓越した妙技。
両者の真剣勝負が創り出すセーヴル磁器は、優雅で気品に満ち、またたく間にフランス内外の王侯貴族を虜にした。
以来、セーヴル磁器製作所は今日までヨーロッパ磁器の最高峰の一つに君臨している。」

ということだった。

マリー・アントワネットが愛用した食器や、花壷などを始めフランス宮廷文化の華やかさを偲ばせる磁器の数々。
見てゆくと少々食傷気味になったが、セーブルという名前も知らなかった私である。
食傷などとよくいえたものだ。

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上は《乳房のボウル》、下は《カップとソーサー》。

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第二室は近現代のセーブル作品が展示されている。

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ここは撮影自由な部屋でその突き当たりに、
草間弥生さんのスケッチとセーブルのコラボ作品《ゴールデン・スピリット》が飾られている。
草間さんらしい奔放で妖しい塑像は、この日一番の収穫だった。

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このあたりのレストランは、私が苦手な新しくて横文字だらけの店がほとんどである。
なので六本木交差点を渡り、飯倉方面の古い通りへ向った。
アマンドの坂を降りると六本木で呑んだ後は必ず〆で食べた、京風饂飩の店がある筈。
ところが、それらしい痕跡すら見当たらない。

最後に入ったのは20年前だから、その間の消息を知るわけはないが。
いかしこうなると蕎麦やラーメンでもというより、意地でも饂飩を食べたくなる。
表通りに出て物色していると、ショーケースに饂飩を並べた店がある。

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饂飩割烹の「つるとんたん」。いいじゃないか。
関西風というのも嬉しい。さっそく「しっぽくうどん」なるものを注文する。

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洗面器のように大きな丼には驚いたが、鴨肉、揚げたはんぺん、湯葉などが入った汁は、
関西特有の薄味でありながら上品なこくがあり、もちもちした細い麺に絡んで実に美味しい。
饂飩への執着から一挙に開放された気分になった。

ところで、みなさまは六本木というとどんなイメージをお持ちだろうか。
芸能人や外人の多いセレブな街を想像されるかも知れないが、
一歩裏に入るととんでもない光景が広がっているのである。

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地下鉄六本木駅からわずか2分足らずのところにある、広大な墓地を見て仰天しない人は居ないだろう。
江戸時代、この辺りはぽつんぽつんと武家屋敷がある他は、田畑や野原の多い土地で、
六本の松の木が目だっていたことから、六本木の名前が付けられたという説もある。

墓地はその頃の確かな名残であろう。
面白いといっては不謹慎だが、墓に背を向けた雑居ビルにあるバーの手洗い。
その窓から一面の墓地が見下ろせるという、異次元の趣向はいかがだろうか。


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クリスマスカード 2017年12月20日 美術 トラックバック:0コメント:50

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今年で8枚目。
ナンテイ・オリジナルのクリスマスカードです。
お持ち帰りはもちろん、メッセージカード、PCの壁紙など、
どのようにお使いになっても自由です。

なお、以前のイラストも載せました。
初めてご覧になった方はこちらもご自由に。


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Xmas 2



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Xmas 1 



ILLUSTRATED BY NANTEI



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