パラパラ漫画 2017年04月13日 浪漫 トラックバック:0コメント:16

SLIDE。

昨日は浅田真央さんの引退が、報道を独占したような一日でした。

鉄拳

ところで鉄拳というお笑い芸人をご存知ですよね。
イラストレーターでもあった鉄拳は、その後パラパラ漫画で独自の世界を発表するようになり、
「泣ける漫画」として、日本はもちろん世界的にも評価を受けるようになりました。

その鉄拳が浅田さんをモデルに書き下ろした「SLIDE」という作品があります。
国際短編映画祭「SHORT SHORTS FILM FESTIVAL & ASIA 2015」で話題賞を受賞した作品で、
浅田選手のソチオリンピックでの演技に感銘を受けて作られたものです。

元々描いてみたかったというジェットコースターと融合させながら、
浅田さんの挫折と栄光が豊富なアイデアを交えて描かれています。
その「SLIDE」のショートバージョンが、YouTubeで公開されました。



8分の尺を2分に縮めての公開ですが、
早くも賞賛の声が続々と寄せられているようです。


この「SLIDE」が終了した後の画面で、「振り子」を選択してみてください。
多くの視聴者に深い感動を与えた、鉄拳の名作です。

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南日和 2012年01月18日 浪漫 トラックバック:0コメント:24

ただ一撃。
(其の二)
剣道の話を続ける。
剣道に限らず格闘技に属する武術には、並ならぬ瞬発力が求められる。
一瞬の隙をついて必勝の技を繰り出さなければならないからだ。

競技用の剣道では四つの技で勝ち負けを判定される。
1・小手(肘から手首までの腕を打つ)
2・面(頭部の正面を打つ)
3・突き(喉あるいは胸を突く)
4・胴(脇腹の左右いずれかを打つ)
だが、この四つの部位をただ打ったり突いたりすればいいと言うものではない。

充実した気力と正しい姿勢で、目がけた部位を刃筋正しく(竹刀にも刃に相当する面がある)
打ち込みあるいは突いてなおかつ、即座に反撃に応える姿勢(残心)をとっているかどうか。

これらを確認することによって一本勝ちとするかどうか決まるのだが、
さすがに全国大会の最終戦ともなると各選手の戦いは見事で、
一戦一戦が目を離せないほど緊迫感があり、しかも気品に満ちて美しい。

よく時代小説では目にも止まらぬ早業と表現されるが決して誇張ではなく、
実際にこの大会を見ていると面にしても胴にしても、竹刀の動きは瞬きするよりも速い。

これは去年の剣道選手権大会決勝戦の映像だが、赤が優勝した高鍋六段である。
ちなみにこの高鍋六段は前年も優勝を飾り、大会連覇の偉業を成し遂げている。



高鍋六段は面打ちを得意としていて、
面を決めるまでの速さが0.1秒という現在最も瞬発力のある剣士といっていい。
よく目をこらして見ても、いつどのように決まったのかさっぱり判らないのである。

ただこの決勝戦での高鍋六段の決まり手は喉への突きで、
得意の面への一撃を見られなったのは残念だったが。

しかしこれだけの瞬発力が齎す衝撃には、恐ろしい力が秘められている。
冗談だと思うだろうが木刀でも、脚の太さぐらいの木がすぱっと斬れるのだ。

尋常でない技を会得するには、もちろん並々ならぬ稽古と体力を必要とする。
過去の優勝者たちのドキュメント番組を見るとどの選手も、
必勝のただ一撃に賭けるために、ひたすら竹刀を振り続け迷いの無い精神を作り上げてゆくのだ。

これはなにも剣道に限ったことではない。
柔道、ボクシング、空手・・・あるいはスポーツ全般に言えることなのかもしれない。

ここで私が目の前で見た脅威の技の話をしよう。
仕事で仲良くなった某社の幹部たちと、定期的に飲み会を持っていたが、
ある時初顔の方が参加されて関連会社の常務だという。

話しが弾むうちにこの常務は空手の高段者で、某大学空手部を指導しているという。
ひとしきり空手や武道の話が続いたあと、ある一人が、
「そうだ、あれをみんなに見せてやってくれないか」と言う。

酒が入っているからどうかな・・・と躊躇しながらも見せてくれたのは、
名刺で割り箸を斬るという最初は冗談かと思うほどの、技の披露だった。

座ったまま、しかも何の気合も発せずにさっと振り下ろした名刺で、
きれいな切り口ではなかったものの、割り箸は見事二つに切断されたのである。
一撃

この割り箸を両手で捧げるように軽く持っていたのが私だった。
切断される瞬間、重い衝撃が両手に伝わったのを今も覚えている。

人は鍛錬を積むことによって、思いもよらない力を発揮できるということを、
はっきりと眼のあたりにさせてもらったのだが、
努力を続けられるというのも才能のうちだと、イチローを評したある人が話していたっけ。



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南日和 2012年01月17日 浪漫 トラックバック:0コメント:22


ただ一撃。

この時期、特に寒さが一段と厳しい頃、必ず思い出すのが寒稽古のことである。

私は中学、高校と剣道部に在籍していた。
理由は簡単で喧嘩に負けたくないという、ただそれだけのことだった。

私は遠い県からの転校生ということもあり、また体も貧弱だったものだから、
いじめとまではいかないにしても、なにかと舐められた仕打ちに逢っていたのだ。

格闘だったら柔道部もあればボクシング部もあったのに、なぜ剣道だったのかというと、
防具で守られているから直接的に痛い目に合わないだろうという、
なんとも覚悟の希薄な選択だったのである。

しかしその甘い予測は見事に外れて、防具の上からでも恐ろしいほどの打撃を受けたのであった。
剣道の竹刀という言葉は「撓う」から来たのではないかと思うほど、打撃の瞬間はよく撓ってよく曲がる。
例を上げると頭の天辺を打たれたとすると、撓った竹刀の先端は防具から外れた後頭部も打つのである。

相手の腕力と打ち込まれた角度によっては、その衝撃は気絶するほどだった。
剣道
さらに辛かったのが三学期が始まった一月いっぱい続く寒稽古であった。
明け方の5時に起きて、降り積もった田んぼ道の雪を掻き分けながら校舎に着くと、
剣道着に着替えて冷凍庫のような体育館で竹刀を振り、打ち合いの稽古をするのである。

しかも裸足で稽古するのが厳命だったから、
霜焼けの子の足指はさらにタラコのように熟れた色になっていった。

しかし一時間あまり懸命に竹刀を振り、部員と打ち合っているうちに流れるような汗をかいていたのだ。
稽古が終わるのが始業の30分前で、めいめい汗をよく拭いてから学生服に着替えるのだが、
この時待っていたのは、体育館の隅で熾されたストーブの上で湯気を上げている大鍋のお汁粉だった。

寒稽古への逃避の考えは、このおかわり自由の汁粉で他愛なく消し飛んでいたのである。

さてその後私の剣道はどうなったのかというと、軟弱な文化部にも触手を伸ばし、
やはり体が楽なのと女子生徒がいるということで、ふにゃふにゃと軸足を放送部に移して行ったのだ。

高校に入ってからはブラスバンドとの掛け持ちだったので、
次第に剣道の腕前は後輩にも抜かれるようになって、ついに脱退。
以来竹刀には一度も触れたことがないという、武道の精神が殆んど身についていない元剣道部員になっていた。

しかし全日本剣道大会の最終戦だけは、毎年テレビ観戦している。
観戦したあとは必ず、屋外で朽ちてしまっている古い木刀を振ってみるのだが、三日と続いたことがない。

さて、本題の「ただ一撃」だが前置きが思わず長くなってしまったので、次回に持ち越します。


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