レッテル(Ⅱ) 2017年01月22日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:8

ヴェルディ
Giuseppe Verdi
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人はレッテルを貼られることが多い。
有名になればなるほど、外しようのない一方的な評価がつきまとう。

例えば、ショパン弾きあるいはリスト弾きと呼ばれるピアニストがいる。
ショパンを弾かせたらこの人と言われている一方で、
ショパン以外の演奏は平凡だというレッテルを貼られている。

作曲家もそうで、オペラ作曲家というレッテルを貼られている音楽家が何人かいる。
別に悪いレッテルとは思わないが、日本では交響曲やコンチェルトで名を知られた音楽家より、
一段低く見られていたような気がする。

これは明治政府の急激な西欧化政策が齎したものだろう。
西洋音楽を娯楽ではなく、教養として扱った弊害が未だに続いているようだ。
このことは以前も室内楽の愉しみで書いたことがある。

日本にオペラ専用ホールが出来たのは、僅か20年前の1997年のことだった。

さて、そのオペラ作曲家といえば圧倒的にイタリアが多い。
中でもヴェルディとプッチーニはその作品数と、公演の頻度において双壁であることは間違いないだろう。
そんな二人もレッテルの所為か、唯一ヴェルディの『レクイエム』が知られているだけで、
オペラ以外の作品は殆んど見向きもされていない。

作曲家であるからには、独立した管弦楽曲や器楽曲もお手のものな筈で、
二人とも10曲ほど、それらの作品を残している。
ただオペラほど評価されていないので、演奏される機会はごくごく稀だから一般に知られてないのは当然であろう。

今回聴いて頂きたいのは、ヴェルディの弦楽四重奏曲。
ヴェルディは「リゴレット」「椿姫」「アイーダ」「オテロ」など、30曲に及ぶオペラ作品で知られた《歌劇王》だが、
この弦楽四重奏曲もオペラ作家らしく、旋律美に溢れた作品である。

滅多に生では聴けないが・・・






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三味線バッハ(Ⅱ) 2017年01月13日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:10

ばっは





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ばっはだあ!

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ある愛 2016年10月27日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:30

クララとブラームス。
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ブラームスは生涯独身で通しました。
狷介(妥協しない)な性格だったこともありますが、
クララ・シューマンへの愛のためだったとも言われています。

クララは21歳でシューマンと結婚したのですが、
そのシューマンはやがてブラームスの恩人となります。
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批評家としても名声の高かったシューマンは、
若いブラームスを高く評価し、大作曲家への道を開いてくれたのです。

シューマンと親交を深めるにつれて、
ブラームスはクララに強く魅かれていきました。

クララは優れたピアニストでもあり、その上ご覧のような美貌でした。

クララ

でも恩人の妻です。
懊悩し続けたに違いありません。
ブラームスはどのようにして自らを救ったのでしょうか。
それは精神的な愛(プラトニック・ラブ)に昇華させることでした。
相当な抑制の努力が必要だったと思います。

シューマンが56歳で亡くなった後、
ブラームスは残されたクララ一家を、遠くから物心両面で支え続けました。
当時二人の間には頻繁な書簡の往き来があったといいます。

しかしブラームスは晩年お互いの書簡を処分するように申し入れ、
全てを灰にしてしまいました。
後世でクララの名前を汚さないようにしたっかたのでしょう。

1896年。クララは77歳でこの世を去り、
ブラームスは翌年、安堵したかのように64歳の生涯を閉じました。

そんな物語を頭に浮かべながら、ブラームスの 「ワルツ」をお聴きください。
ブラームスといえば重厚で渋い作風で知られていますが、ピアノ用に作られたこの曲は、
とても家庭的でチャーミングだったので、友人の評論家は、
「非世俗的な男がこのような曲を作るなんて!」と、非常に驚いたそうです。

中でも15番は「愛のワルツ」と呼ばれる、ひじょうに美しい小品です。




そうそう、クララはブラームスからの手紙をどうしたのでしょうか。

大部分が大切に保管されていました。


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即興曲 2016年05月20日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:10

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二つの演奏。

シューベルトに「即興曲」というピアノ作品があります。
4曲ずつからなる作品90と作品142ですが、作品90は「即興」という名にふさわしい自由な形式で書かれています。
「歌曲の王」と称されたシューベルトらしい、旋律美に溢れたピアノ曲です。
ピアノ初級者でも弾ける難易度なので、人気の高い作品のひとつです。

その作品90から、私が大好きな第三番を、二人の名ピアニストで聴き比べてみましょう。
この曲は春から初夏の昼下がりに聴きますと、まことに心地良いのです。

先ずは、ベートーベンやシューマンといったドイツ圏の作品を得意とする、
アルフレッド・ブレンデル(1931-/オーストリア)。



次はショパン弾きとして、またドビュッシーを初めとするフランス音楽で一世を風靡した伝説的ピアニスト、
アルフレッド・コルトー(1877-1962/フランス)。



両ピアニストの演奏は全く異なりますが、それぞれに味わい深いものがありますね。
大ざっぱにいえば、ブレンデルのは『春の憂愁』、コルトーからは『秋の寂寥』を感じるのです。
同じ音楽がこんなに違って聴こえるというのも、珍しいことです。




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第17回 2016年04月13日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:10

ショパン・コンクール。
世界には数多くの音楽コンクールがある。
ロン・ティボー、ジュネーブ、ブゾーニ、ヴァン・クライバーン(辻井伸行が日本人初の優勝)、
そして世界三大コンクールと称される、チャイコフスキー、エリザベート、ショパンの各コンクール。

中でもショパンコンクールは、ピアノ部門だけに絞られたピアニストにとって最高の登竜門である。
5年に一度しか開催されないので、挑戦の機会が少ない過酷なコンクールと言えるだろう。
(第二次世界大戦の前後、10年ほど途絶えていたが)

第1回(1927年)の優勝者はソビエトのレク・オボーリンで、
以降優勝あるいは上位入賞者に、ステファンカ、アシュケナージ(2位)、ポリーニ、アルゲリッチ、
ツィメルマン、ダン・タイ・ソン、ブーニンなど、20世紀、21世紀を代表する演奏家を輩出している。

5年前の前回はアルゲリッチ以来3人目となる女性ピアニスト、アウデーエワさんが栄冠に輝いた。
これは当ブログで何度か紹介したから、ご存じかと思うが。
(ちなみに日本人の最高順位は、第二位だった1970年第8回の内田光子さん)

さて17回目になるショパンコンクールは、昨2015年10月に行われた。
優勝は韓国人として初のチョ・ソンジン、2位シャルル・リシャール・アムラン(カナダ)、
3位がケイト・リュウ(アメリカ)という結果だった。

ショパンコンクール。言うまでもなく「ピアノの詩人」と謳われたフレデリック・ショパンの命日である、
10月17日の前後3週間にわたって開催されるのだが、課題曲はショパンの作品のみと義務付けられている。

技巧は当然のこと、それ以上に優れた表現力が求められる。
同じショパンの曲とはいえ、全く異なる個性的な表現がこのコンクールを彩ってきた。
アシュケナージのいかにもロシア的で重いショパン、アルゲリッチの南米らしい情熱的演奏。
そしてポリーニは、まるで冷たい炎が立ち上がるような・・・

ショパンコンクールが始まると、今年はどんな逸材が如何なる演奏を聴かせてくれるのか。
世界の音楽ファンは固唾を飲んで見守っているのである。

さて、今年の上位入賞者の演奏はどうだったか・・・
先日、上位入賞者によるガラ・コンサートの模様が放映されたので、
その感想を簡単に述べようと思う。

まずは優勝者のチョ・ソンジン。ショパンコンクールでは必須ともなった協奏曲1番を演奏する。
音色が非常に美しく、輝くようなショパンを聴かせてくれた。
コンチェルトはこういう華やかさが求められるのだが、東洋人の持つ淡白さといってはありきたりだろうか、
ひっかかりのない演奏がやや退屈気味に思えた。
(あくまでも浅い音楽ファンの感想なので、何万というクラシックを聴きこんでおられる方の嘲笑は、覚悟の上であるが)

もっとも、この協奏曲1番はあまりにも人口に膾炙しすぎて、よほどの冒険をしないと、
どの演奏も没個性に聞こえるといった難しい曲ではあるけれども。

次いで2位リシャール・アムランは、今大会の中で最年長者26歳。
コンサートでは協奏曲の2番を取り上げていたが、端正かつオーソドックスなショパンという感想だった。

さて、今回最も注目したピアニストが第三位のケイト・リュウという女性である。
シンガポール生まれの中華系アメリカ人で、1994年生まれというから今年22歳になる筈だ。
本選ではなんとマズルカに挑戦し、その特異な演奏で聴衆を魅了した。

ケイト・リュウは心の眼で音を探り当てていくようなピアニストといったらいいだろうか。
作品56のマズルカを聴いたのだが、陰影とニュアンスに富んだその演奏には、
背筋が震えるような感銘を受けたのである。

審査員の中には彼女に栄冠を与えたいと思った人も、かなり居たという。
優勝こそ逃したが「マズルカ賞」という特別賞が授与され、盛大な喝采を浴びたのである。

ケイト・リュウはコンチェルトやソナタといった大曲より、情感溢れる小曲にその才能をいかんなく発揮するに違いない。
こういう引き合いはどうかと思うが、我が国において特異なピアニスト、
宮沢明子さんのような演奏家に成長する気がしてならない。

幸いにも彼女の演奏、しかもマズルカ「作品56のNo.3」を、ユーチューブで見ることができるようになった。
精神的に不安定となってゆくショパン晩年の作品、その揺れ動く心と寂寥感が見事に表現されている。
と、思う。





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11月5日


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