愛犬のために♪ 2018年06月14日 音(古) トラックバック:0コメント:18

ミーナ。

犬を題材にした音楽作品はそう多くありません。
知られているのはショパンの「子犬のワルツ」ぐらいでしょうか。

他にはフランスの作曲家、エリック・サティが「犬のためのぶよぶよとした前奏曲」という、
インパクトある題名の作品を残しています。
聴いてみましたが、ほんとうにぶよぶよした老犬が歩いているような、重く物悲しい音楽でした。

もう一曲がイギリスの作曲家エドワード・エルガー。
彼の生涯最後の作品となった小品のタイトルが「ミーナ」でした。
愛犬家で知られたエルガーの飼っていた数頭の犬のなかでも、一番可愛がっていたと言われるテリアのミーナ。

曲を聴くと、エルガー氏のミーナに向けられた温かい愛情を感じるとともに、
切なく美しいメロディは犬との短くて儚い時間をも思い起こさせます。

そして、つい私の愛犬のことも思い出します。
名前は「りん」。黒柴の女の子でした。

りん2
ILLUSTRATED BY NANTEI

十五年前に亡くなりましたが、そっくりの小さなぬいぐるみを買って、
今でも時々話しかけたりしています。
犬バカは、いつまで経っても直らないようです。

それでは、エルガーの「ミーナ」、お聴きください。




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アマデウス 2018年03月27日 音(古) トラックバック:0コメント:22

モーツアルトの謎。

あまでうす
ILLUSTRATED BY NANTEI

モーツアルトは35歳で亡くなっています。
これは当時としても早すぎた死でしたが、一体なにが死因となったのでしょうか。

実は彼の死因はいまだに解明されていない謎となっています。
これまでに、ポークカツの生焼きによる感染症やビタミンD不足、
さらには対立関係にあった宮廷音楽家サリエリによる毒殺など、100以上の説が生まれました。

映画《アマデウス》では、サリエリの巧妙な心理的圧迫によって、
衰弱死したことになっていますが、病死だったという説が有力になっているようです。
最後の大作「レクイエム」を作曲中のことでしたから、モーツアルトは自らの病による死を予感していたのかも知れません。

数々の美しい音楽を残したモーツアルトは、その音楽とは似ても似つかない下品な言動でも有名でした。
女性のスカートを捲るのは日常茶飯事、従妹の手紙に「う○こを送るよ。う○こ、う○こ」と書いたり、
とにかく所構わず「う○こ」とか「お尻」を連発していたそうです。

そんな下品な男が、何故天使のような音楽をたくさん残せたのでしょうか。
これが最大の謎といっていいでしょう。
ゲーテはついに「人間どもをからかうために悪魔が下した音楽師」と評したものです。

当時の人間はそんなモーツアルトに翻弄されていたようですね。
映画《アマデウス》の中でも、天上から降りてきたような清らかな音楽が、
今まで恋人とお下劣に騒いでいた男の作品と知ったサリエリの驚愕。

サリエリの作品を目の前で勝手に編曲した時の、皇帝や宮廷音楽家たちの戸惑いまたは畏怖など、
まさに、あらゆる人間をひっかきまわした感があります。
天才と呼ばれる人と、凡人との間に軋轢が起きるのは今も同じですが。

それでは映画の中ですが、サリエリが初めて出会ったモーツアルトの音楽、
「セレナーデ第10番第3楽章」を聴いてください。
「う○こ」「お尻」を連発するモーツアルトを想像しながら・・・




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奇人? 2018年03月15日 音(古) トラックバック:0コメント:16

パハマン
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伝説のショパン弾き
VLADIMIR DE PACHMANN
ウラジミール・パハマン。ロシアのピアニスト。1848-1933

先日久しぶりにフランスの伝説的ピアニスト、アルフレッド・コルトーのLPを聴いていたら、
もう一人、異彩を放つピアニストのことをふと思い出したのだ。

ウラジミール・パハマン。あのリストに絶賛された男であり、
レコード録音として残っている最古のピアニストでもある。
私は復刻のLP盤を持っているが、当然モノラルでありしかも音質が悪い。

にもかかわらずその演奏はスリリングであり、ときにリリカルである。
よくご存じの「子犬のワルツ」。
これは途中から全く別の曲に聞こえるほど、左手を勝手に編曲してしまっているし、
「葬送行進曲」は早すぎるほどのテンポで進むのだが、
そのたたみかけるような終盤は、身震いするほど恐ろしい。

そして最も有名な演奏が練習曲作品10の5「黒鍵」である。
この曲はその名のとおり、黒い鍵盤だけで弾かれる特異な曲だが、
前置きを語ってから弾き始めたパハマンは、12、3小節目あたりでピアノを止めて呟くのである。

「ここは素晴らしい!」
そうして再び弾き出すのだった。
その後も何度か独り言を発し、最後は「XXXの編曲はこうだ!」とか叫んで演奏を終えるのだが。

パハマンは演奏中、呟いたり演奏を中断して話し出すので、
聴衆もそれを楽しみにしていたらしい。
何事もなく普通に演奏会が終了すると、ブーイングが始まったという。
まことにヘンなピアニストであった。

今日はその独り言が入った「黒鍵」を聴いていただこうと思う。




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ご挨拶 2017年12月28日 音(古) トラックバック:0コメント:46

今年もお世話になりました。


この記事をもちまして、「南亭」はしばらく暖簾を降ろさせていただきます。

この一年、ほんとうにお世話になりました。
ことに退院後は皆様から多くの励ましを頂戴し、
おかげさまで現在は日常生活に支障がないほど回復しました。

お顔も存知あげない方々から、こんなに元気をいただくとは!
まことに有り難いことでした。

私は例年のように、早々と休ませていただきますが、
来年もこれまで同様「南亭」へのご贔屓、なにとぞよろしくお願いいたします。

そしてみなさまには、穏やかな新春をお迎えくださいますよう、心より願っております。


さて、年末といえば「第九」と相場が決まっているようですが、
私はこの音楽で一年を締めくくることにしています。
それはマーラーの交響曲八番。演奏規模のあまりにも大きなことから「千人の交響曲」と呼ばれています。

その最終楽章はまさに「千人の・・・」に相応しい、音楽の一大伽藍といっていいでしょう。

すべて移ろいゆく無常のものは ただ仮の幻影に過ぎない。
足りず、及び得ないことも 高貴な現実となって
名状しがたきものがここに成し遂げられた。
永遠の女性、母性的なものが
われらを高みへと引き上げ、昇らせてゆく。


フィナーレ「神秘の合唱」は、家鳴りするかと思われるほどの音響と相俟って、
身が震えるほどの感動に包まれるのです。

晦日の慌しさも一段落した静かなひと時、耳を傾けてみませんか。
第8番を全曲聴いてみたいとお思いの方には、バーンスタインが指揮した映像をお薦めします。





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天上のピアニスト 2017年12月09日 音(古) トラックバック:0コメント:14

グールド
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GLENN GOULD
グレン・グールド。カナダ出身のピアニスト(1932-1982年)。

グレン・グールドは私の知る限り最も天才的なピアニストです。
1956年にリリースした斬新な解釈の「ゴルトベルク変奏曲」は、
発売されるやいなや、評論家も聴衆も絶賛を惜しまず、 グールドは一躍時代の寵児となりました。

ところが、1970年代にリリースされたモーツァルトの「ピアノソナタ全集」は、
「モーツァルトへの侮辱」とまで貶されて、酷評の嵐に曝されたのです。
その後も毀誉褒貶の狭間で、数多くの録音を残しました。

グールドは針を落としてみなければ、見当のつかない演奏が殆どです。
アレグロなのにもどかしいようなスローテンポ。
かと思うとゆったりした曲の筈が、駆け抜けるようなアレグロといったように、
予測不能のスリリングなピアニストでもありました。

しかし、グールドは決して奇を衒ったわけではありません。
楽譜通りに弾くよりも、この音楽はこうあるべきだという感覚の持ち主だったようです。

今日聴いていただくのは、皆様おなじみのベートーヴェン「月光」です。
ドイツの巨匠たちの重厚な演奏に比べて、グールドのは非常に明るい月の光を感じます。
やや早めのテンポなので、タッチが軽く聞こえるからでしょう。



いかがでしたか?
グールドは円熟期にさしかかる50歳で彼岸に渡ってしまいました。
神様は無情ですね。


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