行徳 2017年03月03日 房総 トラックバック:0コメント:8

宮内庁鴨場。

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東西線行徳駅からバスで数分のところに、宮内庁の新浜鴨場がある。
鴨場といえば皇太子夫妻のデートの場所として、一躍その名が知られるようになったが、
無論のこと一般人が入ることは出来ない。

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ただ鴨場に隣接した56ヘクタールの行徳鳥獣保護区は、市民が自然とふれあう場として利用されている。
ここは野鳥にとって貴重な生息空間でもある。

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鴨場の正門を離れて暫らく歩くと、河津桜の並木道になる。

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何年か前に来たときは無かったように記憶しているが、
もしかしたら十年以上訪れていないのかもしれない。

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やがて干潟の風景が広がり、中州には無数の鴎が翼を休めている。
ここは川鵜の繁殖地でもあり、繁殖期ともなると周囲の樹木には数え切れないほどの鵜が群がるそうだ。

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3階建ての野鳥観察舎は耐震工事のため、休館。その隣に野鳥病院がある。
ここは、怪我をしたり病気になった野鳥を治療して、再び野に戻す施設である。
カモメ、サギ、キジ、ハヤブサなど年間約400羽を保護するという。

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白鷺はどこが悪いのだろうか、人が近づいてもぼんやりしている。

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フクロウは脚を怪我したようで、
悲しげにいつまでもこちらを見るものだから、去り難くなる。

しかし、前回の谷津干潟もそうだが、こういうところへ来るには、
超望遠のレンズが付いたそれなりのカメラを持参しないと、気が引けたものだが、
年の功というものか、このごろでは望遠レンズの列に混じって、ポケットカメラを操ることも平気になってきた。

もっとも、遠くの野鳥など撮れるわけがないし、撮る積もりもないが・・・


行徳駅に戻って昼飯を、と思ったのだがこれという店が見つからない。
そこで乗り換えの西船橋まで戻る。

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この駅構内には立ち食いの寿司屋があって、安い上にネタもまあまあというので、
ちょっとした評判になっているのだが、私も何度か利用させてもらった店である。

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八貫590円からとなっていて、これがランチサービスだと480円になるから、
その時間帯はぎゅうぎゅう詰めの状態になる。
写真を撮る余裕もなかったので、590円握りはメニューポスターをご覧になって頂きたい。

でなければ、ここ《つきじ千鮨》でお確かめあれ。



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ラムサール 2017年02月19日 房総 トラックバック:0コメント:18

谷津干潟。

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京成谷津駅を降りると小じんまりした商店街が見える。
谷津遊園があった頃は、休日ともなると溢れるほどの人出だったが、
ディズニーランドが開業するとともに谷津遊園の客足は遠のき、
昭和57年閉園に追い込まれると、自然にこの商店街も賑わいを失ったのである。

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それでも私鉄の小さな駅前にしては、どことなく華やいだ趣がある。
遊興の人々を迎えていた名残りだろう。

商店街を突き抜けて暫らく歩くと、潟が見えてくる。
谷津干潟(やつひがた)は、千葉県習志野市谷津および秋津にある約40haの干潟である。
1988年に国指定谷津鳥獣保護区に指定され、さらに1993年ラムサール条約登録地に登録された。

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サギ類・カモ類・カモメ類などの水鳥が一年を通して見られ、
年間を通じて約80種類、少ない時でも40種類の鳥が飛来する。
また、シギ・チドリ類が飛来する場所として全国的に有名でセイタカシギが定着するなど貴重な環境である。

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この日、ちょうど満潮と重なったらしく、中州は水没して鴨の姿しか見えなかったが、

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汐が引くとこのようにさまざまな野鳥が餌を求めて訪れるため、
野鳥愛好家、または写真愛好家たちが、大きな望遠レンズの砲列を作る。

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干潟を一周する遊歩道があり、ゆっくり巡ると一時間ちょっと・・・。
途中には自然観察センターがあり、ここを休憩場所にする人も多い。

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再び商店街に戻る。ビルの間で異彩を放つ洋館が目につく。
『蛍明舎』というカフェ、いや、あえて「純喫茶」と呼ばせていただこう。
かの村上春樹氏も通ったという名店である。

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店内は程よい薄暗さで、重厚なカウンターも心地よい。
フランス風のサンドウィッチ《クロックムッシュ》と、ブレンドコーヒーを注文する。
ホエー豚のロースト、もうひとつは卵。
それをパンに挟んで焼いたホットサンドが《クロックムッシュ》。

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それとなくハーブが効いていて、一筋縄のサンドウィッチではない。
美味しいのはもちろんだったが。

ちなみにこの『蛍明舎』は、市川市の八幡でも営業していて、
八幡といえば以前、永井荷風が愛したトンカツの「大黒屋」を紹介したが、
(かつ丼)
そのトンカツを食べたあと、『蛍明舎』で珈琲というコースも捨てがたい。


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下総中山 2016年10月13日 房総 トラックバック:0コメント:20

古寺春秋。

日蓮宗大本山下総中山法華経寺。鎌倉中期創建。

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京成電鉄中山駅徒歩十分。

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総門より参道数百米。

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参道、別院多し。

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参道尽きる所、土産物屋食堂数軒。

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正面に重文・五十塔。

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重文・祖師堂、左手に刹堂を望む。

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祖師堂、回縁。

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祖師堂、四足門を結ぶ回廊。

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重文・四足門。

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奥に聖教殿。日蓮の書、遺品等国宝・寺宝を収蔵。


春は。

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隠れた桜の名所。(平成25年4月撮影)




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法華経寺徒歩20分。日本鉄道下総中山駅。
駅前に創業昭和6年の柳麺屋あり。

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見た目無骨。化学調味料不使用の素っ気ない汁。
数十年前初めて食した柳麺斯くや。あるじは現在三代目。
「懐かしい味」と言えば「これしか能がありません」と笑う。



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永井荷風と 2016年09月30日 房総 トラックバック:0コメント:20

カツ丼。

千葉県市川市に「文学ミュージアム」というカルチャーセンターがある。
ジオラマ作品の企画展をやっているというので、ジオラマ狂でもある南亭は、
何はともあれの思いでやってきたのである。

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題して「昭和幻風景」。
市川市出身のジオラマ作家、山本高樹氏がよき昭和の東京下町を、精密なジオラマで再現した企画展である。
山本高樹氏といえば、NHKの朝ドラ「梅ちゃん先生」のタイトルジオラマの制作者でもある。
と聞くと、ああ!と膝を叩く方も多いだろう。

30点近いジオラマ作品は、期待を裏切らないものだった。
というより、期待以上のといった方が正しいかも知れない。

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先ずは「梅ちゃん先生の町」

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山古志村の農家

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川っぺりの街、などなど・・・
細々とした生活小物に感嘆し、建物の造作を舐めるように観察する。
いずれも離れ難いほどの見事なジオラマ。在りし日の昭和に、どっぷりと漬かった心地だった。

ミュージアムを出て、京成八幡駅に向かう。
もう一つの目的は、永井荷風が通った「大黒屋」を訪れることである。
永井荷風は戦後間もなくの昭和23年、市川市に居を構えた。
随筆集「葛飾土産」はこのころ執筆されている。

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永井荷風が住んでいた八幡町の住宅街。

市川での荷風といえば、なんといっても「大黒屋」だろう。
当時の女将によると、
ほぼ毎日、ここで「カツ丼」と「上新香」、「お酒一合」をただ黙々と召し上がれました。
亡くなられた前日にも、いつもの「カツ丼」を召し上がっていかれました。


確かに名作『断腸亭日乗』の最後あたりになると、「天気」の事と「正午大黒屋」のみの記述となっている。
ともあれ、せっかく市川まで来たのだから、「大黒屋」のカツ丼を食べない手はない。

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「大黒屋」は京成八幡駅の北口にある。
当然、いつの頃か建て替えたのだろう、モダンな造りになっていた。
ここはしかしカツ丼専門店ではなく、れっきとした割烹の店である。

寿司、天麩羅、鰻、刺し身がお品書きの殆んどを占めている。
ただ昼の人気はやはり「カツ丼」らしく、入ってくる客は口を揃えたように「カツ丼」を注文していた。

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店内の向かって左奥が、永井荷風の定席だったらしい。
私が入店した時は、ほぼ満席だったからカウンターに案内されてしまったが。

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さて、出て来た「カツ丼」を見て仰天した。
ぐわっ!でかい!!「なか卯」のカツ丼に比べて1.5倍の量はあるだろう。
私の昼といえば、お握り一個分に相当する少量の麺類である。
朝もご飯一杯だし、夜は晩酌のつまみあれこれで腹が膨れるといった按配だから、
胃の容量が往時より縮小している筈だ。

出来るだけ残さないようにしなければ、荷風さんに合わせる顔がない。
別にどうでもいいことだけど、動顛のあまりそう思ってしまったのである。
しかし、カツは脂肪分の少ないフィレで、衣はからっと揚がっていてしかも肉は柔らかい。
タレも濃からず薄からず、全部食べたとしても胃にもたれることはないだろうと思わせるほど、上質のカツ丼だった。

本当は「荷風セット」を頼むのが、通?の大黒屋ファンらしい。
荷風が毎日食べたという「カツ丼」「上新香」「お酒」のセットというが、
蕎麦なら判るけど、カツ丼をお伴の昼酒は遠慮申し上げたいものだ。

さすがにご飯は少し残してしまったが、
「なか卯」の丼以上を昼間から平らげるというのは、近来稀な出来事であった。
しかし喜寿を超えてなお、毎日のように「カツ丼」を咀嚼し胃袋に収めていた永井荷風。
奇人を通り越してなにやら不気味なものすら感じるのである。

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この辺りの商店街は「荷風の散歩道」と称している。
雨の日も雪の日も、飄々と「大黒屋」に通っていた荷風の姿が、
車の陰や電柱の向こうに垣間見えるような、そんな気がしたものだ。

ちなみに市川は文学の町と言われている。
かつて、荷風を始め幸田露伴、北原白秋、安岡章太郎、五木寛之、井上ひさし、
また、戦後の俳句界に大きな足跡を残した能村登四郎といった文学者たちが居を構えていた。
真間に近い遊歩道は「市川文学の散歩道」として整備され、多くの文学愛好者たちが訪れる。

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(2010年、4月に訪れた時の写真)

ことに桜並木の散歩道は、春ともなると当然の人出となるのだが、
所どころに立つ作家紹介の掲示板が、一挙に華やいで見えるのも文学の町、市川らしい。



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本当の 2016年07月25日 房総 トラックバック:0コメント:26

浦安。

ウラヤスと聞けば誰もが「東京ディズニーランド」を思い浮かべるだろう。
だがディズニーランドが立地する辺りは戦後の埋め立て地であって、本来の浦安と呼ばれる所は、
ディズニーランドのイメージからほど遠い、懐かしい時代の面影を残した漁師町なのである。

東西線「浦安駅」から少し歩くと猫実川に差しかかるが、川の周辺には平安時代創建の「豊受神社」、
鎌倉初期に建立された「清瀧神社」、また戦国時代から続く寺院が点在し、歴史ある町という印象が深まる。

寺社の他に古民家も保存されていて、10年ほど前にも来たのだが、
今回は再びそれらを見学することにした。

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先ずは茅葺き屋根の『旧大塚家』。

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江戸時代末期に建てられた漁師の住まいだが、想像以上に広い間取りで、
江戸前の魚に恵まれた浦安漁師の豊かさが偲ばれる。

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もう一軒は『旧宇田川家』。
明治2年に建てられた宇田川家は、今でいうコンビニのような商い「よろず屋」だったそうで、
一時は郵便局にもなっていた素封家である。

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室内の調度には目に見えないところに贅を凝らして、いかにも旧家らしい趣味の良さが窺われる。

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当時の庭園はこの三倍以上あったらしく、当然山水を模した造作だったに違いない。
この日は小雨模様の一日だった所為か、客は私一人という静かさで、
しばし座敷から雨に濡れた庭を眺めるという、思わずしっとりとした時間を過したのである。

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宇田川家を出て、全線100円の「おさんぽバス」に乗る。
10分ほどで今日の主目的、『浦安郷土博物館』前に着く。ここは漁師町浦安の歴史資料を紹介する博物館である。

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館内には山本周五郎の小説「青べか物語」に出てくる『べか船』や、漁師道具などが陳列されている。
だが一番興味深いのが、屋外にある「うらやすの町」である。
浦安が漁師町として最も活気に溢れていた、昭和27年ごろの町並みが再現されている。

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文化財となっている、川べりの煙草屋さん。
その奥には胸がチクリとするような、路地と家並みが続いている。

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青物売りの声、井戸端会議、駄菓子屋から子供たちの声・・・

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そんな幻覚に捉われながら、一軒一軒覗いて歩く。
我を忘れてしまう時間。

博物館を出ると、当然ながら平成に引き戻される。
再びバスに乗って浦安駅へ・・・遅めの昼ご飯をと、界隈を歩く。
駅からちょっと離れたところに、「そば処」を見つけた。

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最近出来たような佇まいで気が進まなかったが、これ以上探し回るのも草臥れる。
とりあえずと、入ってみた。

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純粋な蕎麦屋というより、蕎麦割烹という雰囲気である。
目立つところに良さそうな酒が並んでいて、目の毒である。

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目から毒を払うためにも、先ず一杯やらねばならない。グハハハハ!
房総の酒「梅錦」のお伴は鴨焼き。

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同時にザル蕎麦を頼む。蕎麦は細めの二八蕎麦だが少々水っぽいし、つゆが濃くてしょっぱい!
漁師町だから、濃い味が好まれるのかどうか判らないが・・・。

とか何とか言いながら、昼下がりの酒はあっという間に舌を鈍麻させるようで、
蕎麦が美味しく思えてきたのであった。



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