房総の城 2018年05月21日 房総 トラックバック:0コメント:22

館山城。

房総の城、中でも天守を持つ城郭は五箇所あります。
今回は大多喜、久留里に続いて館山城を訪れました。

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館山市は房総半島の南、東京湾に面した人口5万人ほどの街です。
城は城山公園という高台にあり、久留里と同様、典型的な山城。
ここを登らなくてはならないのか・・・早くも足が怯んでおります。

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城までは500メートルだそうで、久留里の700メートルより距離は短いのですが、勾配が急な感じがします。
ここまで来たからには引き返すわけにはいきません。

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覚悟を決めて登り始めると、すぐに何故か孔雀園があったりして、
孔雀たちがあの美しい羽根には似つかわしくない声で騒いでいました。

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なおも喘ぎながら登ります。

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茶室が見えてきて、城はもう間もなくでしょうか。

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ここから何十段かの階段を登り、やっと辿り着いた館山城は、「南総八犬伝」で知られる里見氏の居城でした。
江戸の初期、里見氏が領地を没収されると城も壊されてしまい、
今の天守が再建されたのは昭和57年のことです。

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ただ里見氏時代の資料が不明なため、愛知県の犬山城を模して造られたそうで、
全国に多い模擬城のひとつでもあります。

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天守からは館山の街、そして館山湾(鏡ヶ浦)が一望できてまことに爽快。
思わず「よきにはからえ」という声が出そうになります。
下りは登りより楽なのは当然ですが、これはこれで膝にくるのですね。

さて、館山ではお城の他にもうひとつ見ておきたいところがあります。
その前に昼ごはんをどうしましょう。
もう2時を過ぎてしまい、殆どのお店が準備中になっています。

最後はコンビニのお握りでもいいやと思っていたら、
船形漁港の一画に営業中の定食屋さんを見つけました。
「やれ嬉や!」

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地元の男衆が、刺身や焼き貝などで飲んでいるような、正しいみなと食堂です。
ただ昼時間が過ぎているので、お品書きどおりには出せないとのこと。
で、「とまや定食」というのを頼みました。相方さんは海鮮天丼です。

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刺身はマグロ中トロ、カンパチ。サザエのつぼ焼き、山盛りのあら煮。
それに豆腐、お新香、すまし汁・・・。
気取ったところのない、まことに素朴な漁師料理でした。

お腹もいっぱいになったところで、今日二つ目の目的地へ向います。
みなと食堂からすぐのところに船形山という低い山があり、
その崖に浮かぶように建っているのが「崖観音」と呼ばれる観音堂です。

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観音堂の本尊は、十一面観世音菩薩で崖の中腹にある祠に刻まれています。
この本尊は、養老元年(717年)に行基が東国行脚の折、地元漁民の海上安全と豊漁を祈願して、
山の岩肌の自然石に十一面観世音菩薩を彫刻したと言われています。

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真下から見上げますと、波打つような岩肌と朱塗りの堂は奇観という言葉にぴったりです。
「ここも登るんかい?」「登るのだ!」と無慈悲な相方の声。

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泣き泣き石段を登ります。

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お堂からの眺めは、館山城に劣らず素晴らしい。
ただ、真下を見ると足が竦みそうです。
「崖の上のポニョ」状態・・・ってどんな状態かわかりませんが。

崖の上に建つお寺は、同じ房総の「笠森寺」も有名ですが、
この崖観音は見るからに荒々しい背景で、一見の価値大いにありでした。

こうして二箇所の「山登り」を余儀なくされたわけですが、
今日も膝が笑ってます、脛が泣いてます。


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房総の城 2018年04月13日 房総 トラックバック:0コメント:24

雨城。

明治以前の千葉県は、三つの国に分かれていました。
北から下総、上総、安房と続きます。今でも房総と呼ぶのはその名残です。

維新までその房総には多くの藩がひしめいていて、
廃絶された藩も含めると下総に23、上総19、安房には7つの藩が存在していました。
その他にも旗本の直轄領が入り組むように混在して、房総半島は蜂の巣のような有様だったのです。

これは徳川幕府が執った狡知な大名統制の一端で、
江戸に近い所には大藩を置かず、弱小大名を配置して江戸の安泰を図るという政策によるものでした。
ちなみに江戸に隣接する上野(埼玉)には21藩、下野(栃木)も21藩、常陸(茨城)には22藩が置かれていました。

それにしても房総半島は、栃木や茨城よりも面積が少ない。
そんな中で49もの藩が押し込められていたとは驚きですね。
従ってそれらの石高は一万、二万石という零細大名が殆んどで、
十万石の身代を持っていたのは古河、佐倉、大多喜の三藩のみでした。

ところで現在の千葉県には天守閣を持った城跡が5箇所あります。
千葉城、大多喜城、久留里城、館山城、関宿城で、いずれも模擬天守、
いわゆる戦後に建てられた天守閣です。

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今回はそのうちの久留里城を訪れました。
久留里は房総半島のちょうど真ん中ほどに位置します。
木更津から久留里線で約40分のこじんまりした城下町です。

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小さな商店街を抜けて山道を登ると今日の目的、久留里城にたどり着くのですが、
ふもとには何本もの杖が用意されていました。
ここから延々700メートルの急勾配を上らなければいけないようで、早くも脚が怯んでおります。

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ここで引き返しては交通費がふいになってしまうので、覚悟の登攀を決めました。
坂の半ばほどで早くも脹脛が痛み出して、丁度しつらえてあったベンチにへたり込みましたよ。

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谷の新緑が眩しいほど美しい。

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再び苦行のような登攀を続けて、やっと天守閣が見えてきました。

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出丸から見渡す久留里の里が箱庭のようです。

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久留里城は戦国時代、里見氏の拠点でしたが江戸時代に入ると、いくつかの大名が居城としていました。
最後の藩主は黒田家で5万石。典型的な山城です。
天守はもちろん新しく建てられたもので、その隣に古くからの土台が残っています。

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最後の力を振り絞って天守閣に登ってみましょう。
房総のなだらかな山並みが一望できて、まことに爽快な気分です。
久留里城は別名「雨城(うじょう)」の名で知られていますが、
築城直後から毎日雨が降ったことでこの名が付けられたと書いてありました。

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下り坂は楽ですね。
今度は久留里の城下町を散策してみましょうか。

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小さな町ですが、いたるところに歴史を感じさせる商店が残っています。

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目立つのが酒蔵です。狭い町に三軒もの酒蔵があります。
実は久留里は日本100名水に選ばれている「名水の里」としても知られています。
綺麗な水のあるところ、必ずといっていいほど酒造りが盛んなのですね。

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久留里の町の至るところに湧き水の井戸があります。
その数200といいますから、驚きです。

この日のお昼ご飯は、家で握ったお結びと茹で卵の、おなじみナンテイセット。
なにせ久留里往復で野口英世さまが二枚飛んでゆきますので、外食などもってのほかなのであります。

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駅前に古民家カフェを見つけました。
なんでも昔からの商人宿を活用したそうですが、奥の喫茶室を撮影させていただきました。
何も飲み食いしないでの上ですから、ナンテイも図々しくなったものです。

もうひとつ、久留里には知る人ぞ知るという名産品があります。
それは伝統工芸の「黒文字楊枝」または「雨城楊枝」という呼ばれる楊枝で、
その洗練された形の美しさは、茶会や懐石でも珍重されているそうです。

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義父から貰ったその黒文字楊枝、私も大切にしています。
これは一般的な「雨城楊枝」ですが、もっと意匠を凝らした芸術品のような楊枝もたくさん作られています。



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桜また桜(三) 2018年04月04日 房総 トラックバック:0コメント:30

いずみの森。

桜の〆は、やはりあそこだ。

いずみの森の山桜。

その前に、富田の芝桜はどうなっているだろう。

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桜の開花から三週間ほど遅れて見頃になる芝桜だが、
例年より早い桜につられてか、4月早々というのにそこそこの育ちようだ。

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満開の桜と芝桜の豪華な競演だ。

富田からこんもりとした森に入る。
この森一帯は「いずみの森」と名付けられた里山保存地区。

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その森の中ほどにほっこりとした空間がある。
いつ来ても人影を見たことが無く、神秘的な雰囲気を漂わせている。

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ここに大きな二対の山桜があり、
たぶん誰にも褒められず咲いては散るを、何十年も繰り返してきたのだろう。

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九段や常盤台、あるいは近くの公園で見た桜が現世だとすると、
これはまるで彼岸の花かと思う。

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桜の下に大きな自然木のテーブルとベンチがある。

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ここで、お握りと茹で玉子。
どんなご馳走より美味しいと思えるのは、周りに充ちている芳しい空気の所為か。

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杉木立を抜けてくる春風は優しく、野鳥の鳴き声と相俟って瞼が重くなってしまう。

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私にとって、ここ何年か究極の桜となっているが、
喧騒の中の桜も見たくなるのが、まだまだ生臭い人間ということなのだろう。


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桜また桜(二) 2018年04月01日 房総 トラックバック:0コメント:24

常盤平。

新京成線「松戸」の五つ手前に、「常盤平」という駅がある。
ここから両隣の駅「八柱」「五香」に至る市道が『さくら通り』と呼ばれて、
桜100選に入っているとは最近知ったことであった。

東京圏が満開という情報を待ちながら、絶対に行ってみようと思っていたのである。
常盤平までは千葉から京成電鉄で50分。そう遠いところでもない。

常盤平駅前から左に折れると「五香」、右が「八柱」。
本来なら「五香」で降りて「常盤台」を経由のうえ、「八柱」までのさくら通りを歩くのが常道かも知れないが、
5キロ近い道は今の私にとって無理と言えよう。
そこで、さくら道の中心となっている「常盤台」から「八柱」の行程を選んだのであった。

駅前の交差点を右に折れた途端、足が止まってしまった。

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遥か遠くまで続く桜並木、その殆どが見事な古木ばかりで、厚ぼったい花の塊りが空を塞いでいた。
ここから「八柱」までゆっくり歩いて約40分。
みなさまも一緒に歩いたつもりで、以下の写真をご覧になってください。

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折々の風に散る花びら。桜は散り際がいちばん美しい。

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散ったばかりの花屑、なんと可憐な。

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黒塀の大きなお屋敷。

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雪のように降る花びらたち。

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そろそろ終着の「八柱」が近い。

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こんなに長い桜並木を歩いたのは、日光街道以来である。
九段から半蔵門、また常盤平と歩いて文字どおりの花疲れ。

八柱駅前で昼ごはんとしよう。
ラーメンを食べたい気持ちだが、目についた2軒は今流行りの創作系。
で、横丁に入ってみる。

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中国家庭料理と書いてあるが、気になる店だ。
表のメニューには「3月のサービスラーメン」とある。
580円均一・・・?

サービスラーメン5品の中から迷わず「海鮮とんこつラーメン」を選ぶ。
とんこつラーメンが食べたかったこともあるが「海鮮」に食指が動いたのだ。

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非常にいい顔をしたラーメンではないか。
海鮮は海老、烏賊、貝柱だろう。
スープを啜ってみると思いの外あっさりしてしていて、魚介の出汁も程よい。
とんこつというより、中国料理でいう白湯(パイタン」スープか。

ともあれ、これはおいしい!杏仁豆腐も付いていて嬉しいね。
なんと最後に珈琲まで・・・
これでワンコイン+80とは畏れ入りました。

くどいようだが、
「裏通りに美味いものあり」


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ミモザ 2018年03月19日 房総 トラックバック:0コメント:32

MIMOSA2018

千葉ポートパークはその名のとおり、千葉港に隣接する公園です。
思いの外樹木が多く四季の花々も楽しめるので、休日は家族連れで賑わっています。

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広場の一隅には河津桜。

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広場の勾配を上ってゆくと、お目当てのミモザが頭を覗かせています。

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暗緑色の体を持ったミモザ様は、去年と変わりない姿で迎えてくれました。

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10メートルほど近づいただけで、はやくも甘い香りが鼻腔をくすぐります。
以下の写真でその香りをご想像いただけたらと思いますが、
なにせオモチャのようなコンデジですから、春風で揺れる房が上手く撮れなくて申しわけありません。

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そんなわけですが、ミモザ様。
今年も温かく出迎えていただき、ありがとうございました。

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ポートパークのすぐ隣に、県立美術館がありまして、
港周辺を散歩した後、時々休憩のために立ち寄ります。

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特別展以外は老人力で入館できます。
美術館のいちばん奥に《しらゆり》というカフェレストラン。
ここがまた気持ちの良いレストランで、三方が硝子張りのひじょーに開放的な空間なんです。

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窓の外はまだ枯れ色ですが、下草が萌える頃はほんとうに気持ちがいい。
たまに、ここでぼーっと珈琲を飲んでます。



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