音楽の祭典(A) 2018年05月05日 音(演) トラックバック:0コメント:20

ラ・フォル・ジュルネTOKYO。

心配された雨も午前中に上がり、曇りがちだが夏らしい陽気の中で始まった音楽の祭典「ラ・フォル・ジュルネ」。
14回目になる今年は池袋・芸術劇場にも会場を新設して、ますます盛大な音楽祭になってきたようだ。
池袋は大いに気になるところだが、やはり長年見慣れた東京フォーラムで楽しむことにする。

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いつもながら会場は音楽ファンで賑わっている。
なにしろ世界的なオーケストラや演奏家の演奏が、1500円から3000円で聴けるとあって、
一日に4公演はおろか三日間浸りきりという、つわものも居るほどだ。

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さっそく今日選んだ最初の演奏会場に向う。
プログラムはエンリコ・バーチェのピアノリサイタル。
イタリア出身で1989年の「リスト国際ピアノ・コンクール」で優勝したピアニストらしい。

演奏はその経歴にふさわしく、リストの作品「知的で宗教的な調べ」全10曲から、
〈祈り〉〈死者の追憶〉〈眠りから覚めた子供〉〈葬送曲〉〈愛の賛歌〉の5曲。

リストは超絶技巧のピアニストとして華やかな音楽人生を送っていたが、
聖職に就いた晩年は思索的な作品を多く残すようになった。
今回の「知的で宗教的な調べ」も高度な技巧はそのままだが、宗教的な色合いの濃い作品になっている。

エンリコ・バーチェが演奏したこのGホールは、150席のこじんまりしたホールで、
しかも演奏者と客席との段差をなくしているためリストの交響的な響きが、
聴衆の頭から足の先まで轟くように鳴り渡るのであった。

リストやショパンが生きていた時代は、貴族や富豪たちのサロンが演奏会場だったそうだから、
この小さなホールで鳴り渡る音こそ、当時の聴衆が感じた音楽だったに違いない。
そうしてみると、1000人以上収容する大ホールでのピアノ演奏は、
音響設備がいかに優れていても、フォルティッシモの暴力的な音響はもちろん、
ペダルから足を離すときのクンという微かな音を感じることはあるまい。

さて次のプログラムまでは一時間以上ある。
ラ・フォル・ジュルネは東京フォーラムはもちろん、丸の内の各所で生演奏が聴けるようになっている。
もちろん、全て無料である。

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ビルのコンコースや路上で、名も無い演奏家たちが奏でる様々な音楽を、
つまみ食いのように聴きまわるのも、この祭典ならではの楽しみだろう。

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また、フォーラムの広場に並ぶ屋台の美味しそうな料理を物色して、
ワインやビールとともに野外演奏を聴くのも一興。

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この日二つ目のコンサートはイギリスの室内オーケストラ、
ロイヤル・ノーザン・シンフォニアによる演奏だ。
指揮はドイツの新進指揮者ラルス・フォークト。

一曲目はハイドンの交響曲103番、「太鼓連打」の名で知られている。
ティンパニの連打で始まることから、この名が付けられた。
ハイドンの作品はあまり聴いたことがない。
というのも天才モーツアルトとベートーベンの間に、埋もれてしまったような存在と思っていたからだろう。

しかしこうしてしっかり対面してみると、実に巧みなオーケストレーションに驚き、
チャーミングな旋律に思わず身体を揺さぶりそうになったのである。
さすが「パパ・ハイドン」と敬愛されたハイドンらしい作品だった。

二曲目はこの日一番期待していたプロコフィエフの交響曲第一番。
「古典交響曲」の名で親しまれている代表作だ。
生で聴くのは二度目だが、あれから随分時が流れている。
新たな発見があるのではないかと、楽しみにしていたのである。

この曲は「現代人が住んでいる古い町」という言葉で例えられることもあり、
全曲を通じて意表を突くような転調の面白さや不思議な感覚に溢れ、
短いながら非常に満腹感のあるシンフォニーなのだが、
殊に第二楽章冒頭の美しさは、何度聴いても夢のような心地にさせてくれる。

耳の肥えた人にはどうか判らないが、私には十分満足のゆく演奏だったと思っている。
その「古典交響曲」から第二楽章「ラルゲット」を聴いていただこう。
これは娘が小さい頃、眠れる音楽集としてテープに編集した中の一曲でもある。

ただ現在はその第二楽章だけの映像が見つからないので、最初から聴くことになってしまうが、
絶対に第二楽章だけ聴きたいという方は、マウスで画面下の赤い丸を右に引っ張り、
タイム表示(4:07)に持ってくると、ぴったり第二楽章が始まる筈です。



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ガット弦の響き 2017年11月05日 音(演) トラックバック:0コメント:26

記念日(2017)。

11月は私の誕生月なのだが、もう何年も周りから忘れ去られている。

この齢ではどうでもいいといえば、どうでもいいのだが少々癪でもあるので、
10年前から記念日と称して自分で自分を祝うようにしてきた。

なかなか行けないコンサートや歌舞伎に南亭が招待し、私が招待されようというわけのわからない企画である。
ただ昨年は、せっかくの演奏会当日に緊急入院となってしまい、
無念の涙を飲んだことは皆さまよくご存知かと思うが。

今年は用心の甲斐あって、無事に記念日を迎えたのである。
南亭から「今年はここに行ってくれたまえ」と指示された場所は、汐留だった。
築地本願寺から市場通りを突っ切ると汐留になる。

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築地市場は祝日にもかかわらず、人がごった返していた。
異国の言語が飛び交うのは、海外のツアー客が多いからに違いない。
築地が人気の観光地になるなんて、10年前は予想もしなかったことである。

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それはさておき、汐留には浜離宮朝日ホールという、朝日新聞東京本社が運営するホールがある。
収容人員550余りの室内楽向けの施設だが、世界で最も響きが美しいとされるシューボックス型の設計で、
弱音による繊細な演奏をすべての座席で満喫できるホールとして、
世界の音楽ホール、その十指に入ると言われているそうだ。

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この朝日ホールでチェリスト・鈴木秀美氏のリサイタルが行われたのである。
鈴木秀美氏は1957年生まれ。バロック音楽のチェロ奏者としてはわが国の第一人者であり、
ベルギーの音楽院から教授として招かれるなど、国際的な評価を得ている。

今回は鈴木氏が最も力を入れている、バッハの「無伴奏チェロ組曲」。
そのリサイタルとあって、大いに期待が膨らんだのである。
もちろん、生で聴くのはこれが初めてとあっては、なおさらだ。

その演奏は・・・
先ず有名な第一番のプレリュード、重低音を一拍目に置いた美しい揺らぎが始まった途端、 
恥かしながら熱いものがこみ上げてきたのである。
ガット弦(羊の腸の筋をよって作った弦。耐久性に劣るので現在はナイロン弦が主流)が奏でる深みと柔らかさ、
そしてガット弦特有の微かにささくれ立った音は、当然ながらオーディオで聴くのとは比較にならないものだった。

ホールの音響も申し分なく、バッハの傑作に陶然とする一時間半だったが、
(この日は組曲の第一、第三、第五。二、四、六は翌週10日に予定されている)
演奏もさることながら、改めてバッハという巨人を見直す機会にもなった。

弦楽器の独奏とは思えないほどのポリフォ二ー(複数の独立した声部(パート)からなる音楽のこと)的技法は、
複数の声部を時間差で分散させるという、画期的な試みで生まれた。

以後、これを凌駕する音楽家は皆無である。
ヴァイオリンやチェロの無伴奏作品は、バッハ以降僅か数人が作品を残しているのみで、
作曲の技法は基本的にバッハの域を超えていないのだ。

バッハが「音楽の父」と呼ばれる所以は、その巨大な作品群もさることながら、
表現技法の飽くなき創意工夫に対しての敬称だったのだと、思わされた今回のリサイタルであった。
せっかくだから、その秀美氏が弾いたバッハの無伴奏チェロ組曲、その第一番を聴いていただこう。
最初のプレリュードは、お耳にしたことがお有りかと思う。



鈴木一族。
鈴木秀美の兄は、オルガン奏者としてまたバロック合奏団の音楽監督として、世界的に有名な鈴木雅明氏であり。
雅明氏の長男がチェンバロ奏者、作曲家として嘱目される優人氏。まさに優れた血統の音楽一家と言えよう。

雅明 秀美 優人
左から、鈴木雅明、秀美、優人各氏。

幸いにして一昨年の雅明、優人の共演コンサートに続き、
秀美氏の演奏まで見ることが出来たのだから、南亭さまには感謝するばかりである。


南亭
「どうだった?演奏会は」
わたし
「おかげで、命の洗濯をしたような演奏会でした」
南亭
「それはなにより。ところでその後は例のとおり酒場巡りかね?」
わたし
「はぁ・・・」
南亭
「それも、きちんと報告してくださいよ」
わたし
「ええ、まぁ・・・」
南亭
「なに、その気のない返事は?」

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ということで、次回はその報告をしなければなるまい。


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五月五日 2017年05月07日 音(演) トラックバック:0コメント:16

今年も晴天に恵まれたGW。

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ここは有楽町の東京フォーラム。この混雑は黄金週間恒例となったクラシックの祭典で、今年13回目を迎える。

らふぉる

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭は、1995年にフランスのナントで誕生した音楽祭である。
「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」と題された音楽祭は、
その後リスボン、スペインのビルバオ、リオデジャネイロ、ワルシャワへと広がった。

東京では2005年「ラ・フォル・ジュルネ・ジャポン」として初めて開催されたが、
来場者数32万人という、クラシックの音楽祭としては驚異的な動員を記録し、
この12年間でのべ850万人もの来場者を集めるという一大イヴェントとなった。

13年目の今年は《ラ・ダンス 舞曲の祭典》をテーマに、5月4、5、6の3日間、
8つの会場で計150近くのコンサートが催される。
有料コンサートは、いずれも1500円から3000円。

泊まりがけで三日間楽しむ方も多いという。
ともあれ、音楽ファンにとっては熱い三日間である。

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この日も私は気になる2公演を選んだ。
先ずは弦楽四重奏で2曲。
ぷろぐらむA

アルデオ弦楽四重奏団は女性だけのカルテットだが、その実力は世界から高い評価を受けているそうだ。
色彩豊かなシューマンの作品もさりながら、ピアソラの「ブエノスアイレス」は情熱に満ちた迫力満点の演奏だった。
アルゼンチンの作曲家ピアソラは、タンゴの革命者として知られいる。

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その代表作「リベルタンゴ」は、チェロ奏者ヨーヨーマが演奏録音したことによって一躍世界的な名曲となった。
今回の「ブエノスアイレス」も原曲はバンドネオンを中心としたタンゴバンド用だが、
弦楽四重奏では弦を弾き、また楽器の胴を叩くなど原曲に劣らぬ激しい表現も見ものだった。

さて、次のプログラムまで2時間はある。

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有料の他に無料のコンサートも数多く企画されていて、それらを梯子するのも楽しい。
東京フォーラム以外のストリートやビルのロビーなど、丸の内全体がコンサート会場といっていいだろう。

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丸の内は想像以上に緑が多い。
この仲通りも往時からは信じられないほど、新緑に飾られてまことに美しい。

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そんなストリートで小さな演奏会を楽しむ人々の眉間は伸びきっている。

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一方で屋台を物色する人も多い。

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野外コンサートの音を聴きながら、気に入った料理とワインを飲む。
こんな幸せがあろうか。

そうこうしているうちに、二つ目のプログラムが始まる。
ぷろぐらむB

ウラル・フィルハーモニー、知っている人は少ないようだが、創設は1936年というから戦前からの管弦楽団である。
本拠地はエカテリンブルグ。モスクワからはるか東のウラル地方、カザフスタンに近い都市で人口130万。
エリツィン大統領の出身地として記憶されている。

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ラフマニノフの舞曲は交響曲といってもいいほど壮大な作品で、
いわゆる”ラフマニノフ節”満載のドラマチックな大作である。

ところで最近の管弦楽団にも女性が目立つようになってきたが、
このウラル・フィルのメンバーも女性が非常に多い。
特にコントラバスを除く弦楽器は殆ど女性と思われるほどである。

初夏のようなこの季節、女性楽団員たちのコスチュームはノースリーブ。
二階席から眺めていると黒づくめの楽団の中に、数十本の真っ白な腕が一斉に同じ動きをする様子は、
ともすると音楽そっちのけになりそうな光景だった。

最後にこの日の曲目ではないが、ピアソラの「リベルタンゴ」を、ヨーヨーマのチェロでお届けしよう。




ホールを出ると、街は黄昏に染まり始めていたが、
迎えの馬車がくるまで、時間はたっぷりある・・・


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もしかしたら 2016年08月22日 音(演) トラックバック:0コメント:16

希少な宝物?

会社勤めをして初めてのボーナスを、ある演奏会に費やしたことがある。
当時は、最後の巨匠と呼ばれていたドイツのピアニスト、ウィルヘルム・ケンプ(1895-1991)のリサイタルであった。

今世紀の最も偉大なドイツのピアニストに挙げられるのが、 シュナーベル、バックハウス、ケンプの三人だが。
厳格で重厚なシュナーベル、バックハウスに対して、 ケンプは抒情的な演奏で一時代を築いた。

クラシックの初心者、その多くが陥るように私もドイツ音楽に傾倒していたが、
特にベートーヴェンの作品は「これ以外にクラシックと呼べるか」とばかり、浴びるように聴いていた時代があった。
もちろん、三大ピアニストによるベートーヴェンのソナタも、LPが擦り切れるほど愛聴していたものだ。

そんな時代のケンプ来日だったから、後先も見ずチケットを購入したのだった。
1965年のことである。
ケンプ
ILLUSTRATED BY NANTEI

東京文化会館でのプログラムは
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モーツアルト:ソナタ第3番(K281)
ショパン:四つの即興曲
ブラームス:ソナタ第3番(作品5)
ベートーヴェン:ソナタ第31番(作品110)

なにせ半世紀前のことである。
演奏の様子を覚えている筈はないが、最後の大好きな「ピアノソナタ・31番」。
第3楽章《嘆きの歌》の途中から、 涙が止まらなくなってしまったことは鮮明に記憶している。

そしてアンコール曲が終わるやいなや、無我夢中で楽屋口に駆け込んでいた。
「サイン プリーズ!」とか叫んでいたのだと思う。
大勢の関係者に引きずり出されそうになった時、 人々を制してケンプが大きな姿を現したのだった。
私の振りかざすプログラム・パンフレットを笑いながら受け取ると、 太いペンでサインしてくれたのである。

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※その頃の演奏会パンフレットは、著名なグラフィックデザイナーが手掛けたものも多く、
パンフレットそのものが作品として、グラフィック年鑑に紹介されてもいた。


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その表紙を開いた1ページ目の顔写真に、さらさらと書かれたサイン。

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随分経った後年、気になっていろいろ調べてみたが、日本で演奏後のサイン会を開いたという記録はなく、
また、直筆のサインを所有しているという方の情報も得ることは出来なかったから、多分、希少なものだと信じている。

いずれにしろ当時の私は怖いもの知らず、恥知らずの若さであった。
しかしその無謀さが、こうして奇跡的なサインを手にすることが出来たのも確かである。

せっかくだから、最後にケンプの演奏を紹介しよう。
ベートーヴェンではなく、バッハのピアノ協奏曲より《ラルゴ》。
心が洗われるような演奏とは、こういうことだろう。




その後、演奏家のサインは3度貰っているが、
我ながらミーハーだったのは、これである。


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五月五日 2016年05月07日 音(演) トラックバック:0コメント:22


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今年も皐月晴れの好天。気温は27度という半袖が心地よい日だった。
ここは有楽町の東京フォーラム。この混雑は黄金週間恒例となったクラシックの祭典で、今年12回目を迎える。
ラ・フォルネ

ラ・フォル・ジュルネ音楽祭は、1995年にフランスのナントで誕生した音楽祭である。
「ラ・フォル・ジュルネ(熱狂の日)」と題された音楽祭は、
その後リスボン、スペインのビルバオ、リオデジャネイロ、ワルシャワへと広がった。

東京では2005年「ラ・フォル・ジュルネ・ジャポン」として初めて開催されたが、
来場者数32万人という、クラシックの音楽祭としては驚異的な動員を記録し、
この11年間でのべ750万人もの来場者を集めるという一大イヴェントとなった。

12年目の今年は《ナチュール=自然と音楽》をテーマに、5月3、4、5の3日間、
8つの会場で計150近くのコンサートが催される。
有料コンサートは、いずれも1500円から3000円。

泊まりがけで三日間楽しむ方も多いと聞いた。
ともあれ、音楽ファンにとっては熱い三日間である。

私は毎年そのうち一日の2公演を楽しんでいるが、今年はまずこのプログラムから。

プログラム

オペラ作曲家としてのみ知られているようなプッチーニの、これは珍しい弦楽曲である。
CDはもちろん、こうして生演奏で聴けるなんて滅多にあることではない。
一楽章の短い曲だが流石プッチーニらしい旋律美に溢れた作品だった。

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「浄められた夜」は伝統的な音階や調性を破壊した現代音楽家シェーンベルクが、
それまでのロマン派的な手法で書いた最後の作品と言われている。
ワーグナーの影響を受けた時代の非常に官能的な音楽である。

シェーンベルクと「浄夜」については、こちらを参考にして頂きたい。
http://nantei1943.blog129.fc2.com/blog-entry-592.html

さて次の公演までは相当時間を残しているが、このラ・フォル・ジュルネは有料の他に、
丸の内一帯で無料の公演を楽しめるようになっている。

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メイン会場のフォーラム広場や地下ホール、また他のビル・コンコースでも、
様々なソリストや団体のパフォーマンスが目白押しだから、それらを巡るのも醍醐味だろう。
ただし、歩き過ぎて脚をさする方もちらほら見るようだが。

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これは三菱一号館の庭園である。新緑の中で聴く音楽はことのほか心地良い。

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この一号館には今や時間待ち覚悟の人気レストラン「Cafe1894」がある。
旧三菱銀行の姿そのままの、重厚な空間が評判になっているそうだ。
時間はたっぷりあるので、後学のためにとも思ったが、

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私はやはりこちらの方に惹かれる。

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フォーラムの広場に並ぶ屋台の一品とアルコールを口に運びながら、
同じ喜びを共有する老若男女の姿を眺めるのが、幸せでたまらないのである。

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この日はローストチキンとローストビーフ、そしてワイン。
明るい時間のアルコールに、ふんわりと酔いが回ってくる。

次は非常に楽しみなプログラムである。ロシアのピアニストボリス・ベレゾフスキー。
1990年のチャイコフスキー・コンクール優勝者で超絶技巧の持ち主だが、
なにより2メートル近い身長と、がっしりした体格は往年のラザール・ベルマンを思い起させる。
映像で見たベレゾフスキーが弾くピアノは、まるでオモチャに見えたものだ。

演奏曲目は開演まで秘密だというから、いやが上にも期待が高まるではないか。

と・こ・ろ・が!
ホール・B7の前には、『ベレゾフスキーは急病のため来日を取り止めました』という貼り紙が。
代わりに別のピアニストが急遽推薦されたと書かれていた。
それがこの新しいプログラムだった。

プログラムB

レミ・ジュニエは2013年のエリザベート国際コンクールで、20歳にして2位になった最も期待されるピアニストらしい。
未知の才能に触れることができるのも、この音楽祭の醍醐味である。
ベートーベン、ショパン・・・特に印象深いものではなかったが、
バルトークの生き生きとした演奏には彼の持ち味を見た思いがした。

それにしても繰りごとになるが、ベレゾフスキーのリストを聴きたかったものである。
残念!

さて、このあとは何年かお付き合い頂いている方々にとって、
「やはりね~」という行動なのは言うまでもない。

ナンテイ流『夜のラ・フォル(熱狂)』が始まるのである。

(過去5回については、カテゴリ『演奏会』をご覧ください)

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