南回廊 2011年01月29日 音楽(古典) トラックバック:0コメント:14

ピアニスト1
ILLUSTRATED BY NANTEI

YULIANNA AVDEEVA
ユリアンナ・アヴデーエワ。 ロシアのピアニスト。1985-

数ある音楽コンクールの中でも、ショパン・コンクールは過酷なことで知られている。
なぜ過酷かというと5年に一回の開催であるため、狭いが上にも狭き門になっていることだろう。

1927年に第一回が開催されているから、昨年で16回目。
80年で16人しか優勝者を出していないことになる。
正確にいえば第12回と13回については、優勝の該当者は無しとされたから14人である。

さてそのショパン・コンクール。昨年は史上3人目の女性ピアニストが優勝の栄誉に輝いた。
しかもマルタ・アルゲリッチ以来45年ぶりの女性の受賞だという。

そのアヴデーエワのコンサートがN響アワーで放映された。
曲はコンクールの最終選考の課題曲でもあったショパンのコンツェルト。
私としては当然アルゲリッチとの聴き比べという興味がある。

アルゲリッチは南米アルゼンチンという、意外な国からのエントリーであったが、
当時すでに失われつつあった「熱情的」な演奏で審査員を魅了し、
見事にロシア、ヨーロッパ勢を抑えてグランプリを勝ち取ったのだった。

ショパンのコンツェルトは序奏が長い。
アヴデーエワは淡々とオーケストラに目をやり、指揮者を眺めながら出を待っている。
そしておもむろに弾き始めた音はアルゲリッチとは正反対に、多少重みのある柔らかなものだった。

それは先入感と言われるかもしれないが、ロシアのピアニスト特有の音といったらいいだろう。
昔アシュケナージのショパンを聴いたときの、ズシリとした響きを思い出したのであった。
ただアヴデーエワの場合はふくよかといっていいのかも知れない。
弾き進むにつれて25歳とは思えない完成度と、
落ち着いた演奏スタイル(もちろん粒の揃った音色にも)に引きずり込まれたのだった。

それにコンクールのときもそうだが黒のパンツスーツ姿がよく似合う、
ちょっと見には男装の麗人めいた雰囲気もかえってチャーミングであり、
私にとって今後目の離せないピアニストになるだろうと思わせたのだった。

ところでこの日の指揮者がシャルル・デュトワだったのが多少因縁めいていて、
デュトワとアルゲリッチは一時夫婦だったことがあり、
デュトワは奇しくもショパン・コンクール2人目の女性優勝者の音も、背中で聴くことになったのである。

もっと面白かったのは、コンクールの審査員でもあったアルゲリッチが、
その会場で聴衆として盛大な拍手を送り続けていたことであった。



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