南酒房 2011年04月30日 料(筍) トラックバック:0コメント:19

筍飯

筍膳。

なんて恰好をつけているけれども、なんのことはない。
ありふれた竹の子ご飯と竹の子の煮物を、
それらしいお盆と器で客引きしようという魂胆なのである。

化粧さえすればいいだろうという宿場の置屋の親爺のような発想であった。

一口に竹の子ご飯といってもご家庭によって作り方は様々だが、
南亭ではどうかというと、細かく切った竹の子と油揚げをだし醤油で煮たものを、
ご飯と一緒に炊き込んだだけの、聞けばカックン!とくるような能のない混ぜご飯である。

ただ油揚げだけはいいものを使うようにしている。
油の質が下品だと周りの食材も下卑た味になるからである。

幸いにも市内の料理屋が贔屓している豆腐屋さんが近くにあるものだから、
ときどき畑の作物で恩を売って、奥さんから油揚げだけこっそり頂くという、
小ずるい手を使ってちょっとした贅沢を味わっていたのだった。

次は煮物になるのだが、これもとりたてて目新しい料理は考えず、
和牛たっぷりの竹の子入りすき焼きといった趣で、どないや!

この時期、京都は八坂神社前の路地の小料理屋に入ったとする。
あいかわらずお品書きはあるけど、値書きが見当たらない。
突き出しでちびちび呑んでいると、お稲荷さんのような女将が言う。

「竹の子どうどす?はしりどすえ」

・・・ん。お幾ら?とは言えんわなあ・・・





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阪神大震災を経験した精神科医、中井久夫さんの言葉です。

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