南回廊 2013年07月30日 俳句写真 トラックバック:0コメント:36

夏の旅。
旅といっても8割が仕事のようなもので、
見たいと思った風景や行事を心ゆくまで眺めることは稀だったが、
たまにスケジュールが空くことがあって、そんな時はささやかながらも、
旅の気分を味わうことが出来たのである。

出張はなんといっても春、秋がいいに決まっている。
夏とか冬はなにより体温の調節に苦労するし、北へ行くには着重ねる衣類もかさ張る。
けれども宮仕えは文句も言っておられず灼熱の沖縄へ、あるいは豪雪の裏日本へと追いまわされるのである。

だがいい思い出が少なかったわけでもない。
今日はその中から夏の旅の記憶を五七五で綴ってみたので、ご笑覧いただきたい。

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逢魔時(おうまがとき)とは夕方の薄暗くなる、昼と夜の移り変わる時刻を意味するが、
街中から一瞬人影が絶えて、気味の悪い静寂に包まれたような時間を指すこともある。

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なれ鮓は、主に魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品で、現在の鮨の原形である。
なれ鮓に対する好き嫌いは、はっきり分かれていて、二度と口にしないという人も多い。
福井県から滋賀県にかけて多く食され、滋賀県では「ふな鮓」の名で有名である。

なお「淡海(おうみ)」とは琵琶湖の古語で、昔の国名「近江」の基となっている。

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仏桑花(ぶっそうげ)はハイビスカスの和語。
苛烈な弾圧の歴史を思うと、島原のハイビスカスは殉教者の生まれ替りのようにも見えた。

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御陣所太鼓は能登で500年近く続く民族芸能である。
能登半島の突端、珠洲の荒々しい海岸で毎年7月末に演舞が催される。
鬼の面を被って乱舞しながらの太鼓は、大人も怖がるという。

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京都の町屋は鰻の寝床のように長い。
その町屋の前に水を打った住人は観光客が鬱陶しいのか、ぴしゃりと引戸を閉ざして薄暗い屋内に消えてゆく。

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オーストラリアの南海上にあるタスマニアは、日本と真反対に6月、7月が冬である。
ローンセストンはそのタスマニア第2の都市で、非常に美しい町である。

「水無月」と「嚔」、しかも夏と冬の季語が入リ混じった妙な季重ねになってしまったが、
村上鬼城の句に「初雪の見事に降れり万年青の実」という冬と晩秋の季語が重なった作があり、
初雪がきっちりと主題になっているから、難じることはないと評されている。

その伝でゆくと南亭のも、水無月が主題だから赦される筈だ。
屁理屈と膏薬はどこにでもくっつく、あははは。



ローンセストンの街並をご覧になりたい方は、
アップルアイランドを。
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テーマ:詩・和歌(短歌・俳句・川柳)など - ジャンル:学問・文化・芸術

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