DNA 2015年04月29日 雑話 トラックバック:0コメント:10

アホウドリの話から。
こんな話を聞いたことがある。
アホウドリのことである。
和名のアホウドリは動きが鈍重なのと、人を怖がらないことで付けられた名前である。
明治の初めあたりから羽毛目的の乱獲によりその生息数は激減した。

アホウドリ

1949年の調査で絶滅したと考えられていたが、1951年に鳥島で繁殖している個体が再発見された。
発見されたアホウドリはなんと、人を見ると怖がって逃げだしたという。
何代にもわたって人間に殺戮され続けてきたアホウドリが、
絶滅の寸前になって希少の子孫に、人を怖れることをDNAに記憶させたのだろうと、
調査にあたった動物学者が述べていたことに、驚きかつ哀れに思ったことがある。

アホウドリA

恐怖の記憶がDNAを通じて子孫に遺伝するものだろうか。
不思議に思っていたところ、こんな驚くべき実験のことを知った。
「身の危険を感じる体験をすると、その《記憶》が子々孫々に遺伝して受け継がれる」
そんな研究結果が、アメリカのエモリー大学研究チームによって発表された。

実験は、雄のマウスの脚に電気ショックを与えながら、
桜の花に似た匂いをかがせ、この匂いを恐れるように訓練。
その後、雌とつがいにして、生まれてきた子供に様々な匂いをかがせた。

すると、父親が恐怖を感じた桜の匂いのときだけ、強く脅える仕草を見せた。
しかも孫の世代でも同様の反応が得られたという。

父であるマウスと子孫のDNAを調べると、嗅覚を制御する遺伝子に変化の痕跡があり、
脳の嗅覚神経の集まりが大きく発達していたそうだ。
これらの変化が《教育》によるものでなく、《遺伝》によることが明らかになった。

では、人間はどうだろうか。
人間に対する研究は進んでないが、京都大学の正高教授らが発表したところによると、
ヘビによる恐怖体験がない3歳児でも、大人と同様にヘビには敏感に反応したことから、
ヘビを怖がるのは《学習》ではなく《本能》であることを示すという。

人でも動物でも、なんらかのストレスを受けるとDNAに、
感覚情報が記憶されることが少しずつ判ってきたようだ。

しかしここで解せないことがある。
人類史何万年にもわたって繰り返された戦争を、恐怖の記憶としてなぜDNAに残さなかったのか。
私たちはその祖先を遡ると、誰かしら戦争の残酷さを味わった筈である。

それなのに戦争が絶えないというのは、どういうことなのだろう。
もしかしたら人間のDNAには、恐怖に勝る暴力の快感が植えつけられているのかも知れない。
他の動物が生きるために、また種の保存のために闘うのとは全く異なる、暴力のための暴力が平気で横行している。

いっそのこと、マウスのように人類のDNAにも暴力制御のショックを与えたらどうだろう。
ただし、人間の遺伝子を組み替えることは、倫理上赦されるものではないと言われている。

だがアメリカではすでにDNAを切断する『ゲノム編集』によって、HIV感染を完治させる技術が開発されたり、
人間のDNAをマウスに植えつけた結果、脳が20%肥大したという研究結果が発表されている。
そして我々の知らないうちに『ゲノム編集』を行った新しい生物が続々と誕生しているようだ。

しかし、こうして生まれた新生物が、生態系を破壊する懸念も大きいのだ。
創造主の領域に手を突っ込んだ人類は、繁栄を続けるのか滅亡を速めるのか・・・




写真は借りたものです。

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