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歌姫 2015年09月28日 音(他) トラックバック:0コメント:0

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ILLUSTRATED BY NANTEI

歌姫とは、
歌唱力、表現力などの総合的評価が著しく優れた女性歌手を指す。
加えて(これは私の考えだが)歌う以外、例えばドラマ、バラエティなどの露出が殆どなく、
ひたすら歌で聴衆の心を掴み続けた歌手でなければならない。

そのような歌姫は、この国に数えるほどしかいないと思う。
独断で挙げるとすれば、中島みゆき、故テレサ・テン、高橋真梨子。
そしてもう一人は、ちあきなおみだろう。

美空ひばりがいるじゃないか。浜崎あゆみは、綾香は?
という方も多い筈だが、申し訳ないけど私の「歌姫検定」からは外れている。

さて、ちあきなおみのことである。
ちあきなおみといえば「喝采」。不滅の名曲として今も歌い継がれている。
その他にも「劇場」「夜間飛行」などの『ドラマチック歌謡』で不動の存在となったが、
1992年9月に夫の郷鍈治と死別してからは、歌手業を含めた一切の芸能活動を完全停止した。
それ以降引退宣言も出ないまま、公の場所には全く姿を現していない。

しかしその後も、毎年のようにベスト盤などのCDがリリースされ、
2000年に発売された6枚組CD-BOX『ちあきなおみ・これくしょん ねえあんた』は
4万セット以上を売り上げ、歌謡曲系のCD-BOXとしては異例のヒットとなった。

ちあきなおみの歌唱は多くの評論家から「美空ひばりより上手い」と評され、
ちあきの「育ての親」のひとりである作曲家・鈴木淳は、
「ちあきなおみの最大の武器は声だ。張りがあって、ハスキーさがプラスされた独自の声。
世界に二つとないようなヴァイオリンにも似た『名器』たる響きがある。」と絶賛している。

そんなちあき。オリジナル曲もさることながら、カバー曲の歌唱これまた絶品である。
まずはアルバム『すたんだーど・なんばー』から「黄昏のビギン」を聴いていただこう。
ふわりと軽く柔らかく、そのくせこの艶っぽさはどうだろう!



それ以上に圧巻の歌唱が、ライブ映像に残っていた「朝日楼」。
これはアニマルズで大ヒットした「朝日のあたる家」が原曲で、
日本では最初に浅川マキが日本語の詞をつけて歌ったカバー・バージョンである。

ちあきなおみの「朝日楼」は、総毛立つような歌唱である。
いわゆる『怨み節』の極みというのだろうか、凄絶な表現力には言葉を失ってしまう。





テーマ:音楽 - ジャンル:学問・文化・芸術