あれから6年 2017年03月11日 震災 トラックバック:0コメント:6

再稼動続々。

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津波で壊滅の宮城県気仙沼
ILLUSTRATED BY NANTEI

東日本大震災からひと月後の4月26日、中曽根元首相は新聞社のインタビューでこのように話しています。

─福島の原発事故で東北が放射能の危険に脅かされています。
「地震による被害だけなら、これほどの大事故にはならなかった。津波が大きかった。
今後、原発を作る場合は立地が大きな問題になる」


─原発は炉を冷やすために大量の水が必要です。それで海辺につくってきた経緯があります。
「湖の水を使うなら内陸もあり得る。ただ、事故があれば、湖に放射能がたまる心配がある。
川の近辺も危険があるし、下流が心配する。やはり海辺だ。要は津波対策をどうするのか。
海の近くにあって、津波がこない丘の上につくればいい」


中曽根氏は戦後、一貫して原子力を推進してきました。
戦後日本の最大の問題はエネルギーでした。石油もなく石炭も貧弱。ガスも出ない日本が、
敗戦から立ち直り、独り立ちするにはエネルギーをどう確保するのかが大命題でした。
中曽根氏たちが着目したのが原子力だったのです。

日本初の原子力予算や原子力立法にかかわり、東海大学を設立した社会党の松前重義氏らとともに、
超党派の原子力合同委員会を設置して、委員長になったのが中曽根氏でした。
そして昭和38年10月26日、東海村に建設された動力試験炉で日本発の原子力による発電が行われました。
これを記念して毎年10月26日は原子力の日となっているわけですが。

─原子力には重大事故のリスクがつきまといます。事故の心配はしなかったのですか。
「そこは厳重に管理をし、地震などの自然災害に対抗できるよう、原子力政策を進めてきた。
法的整備も含め、注意深く進められてきたと、私は思う。
今までは小さな原発事故はあったが、原子炉から放射能が出るといった大事故はなかった」


─今回は想定を超える事態だったと言った東京電力が批判されていますが。
「想定というものは、これからはもう、なくさないといけない」

─原発事故では放射能が漏れ出し、周辺住民が避難させられました。海にも汚染水が流れ、風評被害もあります。
原子力を進めてきた立場で、これだけ大きな被害が出たことをどう考えますか。
「周辺の住民には非常に大きな迷惑をかけた。自分の生活はもちろん、
子供の将来にまで影響が出るようになったことは、本当に遺憾千万だと思います」


─今後も日本に原発は必要なのでしょうか。
「大変な被害を受けたけれども、今度の事故を点検し、これを教訓として原発政策は持続し、推進しなければならない。
国の前途、日本のエネルギーを考え、今回の災害や困難を克服し、雄々しく前進しなければならない。
世界の大勢は原子力の平和利用、エネルギー利用を否定してない」


中曽根氏たちは、日本の復活のために原子力を選択しました。
異を唱える政治勢力は強力にならず、原発は《国策》として進められたのです。
国策の前には多少の犠牲も仕方ないという、為政者の思い上がりは昔も今も変わりありません。

もう一度、中曽根氏の言葉を振り返ってみましょう。
「津波対策をどうするのか。津波がこない丘の上につくればいい」
原発が悪かったのではなく、立地に問題があったとは、ずいぶん本質をすり替えた話ではありませんか。
そして、周辺の住民には迷惑をかけたと言いながら「遺憾千万」の一言で済ませています。
「遺憾」には謝罪の意味がまったく含まれてないのですから、
原発政策の決定者として実に無責任きわまる発言ではないでしょうか。

この「遺憾」の遺伝子はそのときどきの為政者に色濃く受け継がれているようです。
そして政治家の大義というものも実に矮小化してきました。
はっきりいいますと、政治家の大義とは選挙に勝つこと。それ以外にあるとは思えないのです。

その如実な現れが与党、野党の「脱原発」に対するスタンスでしょう。
電力業界から多大な献金を受けている自民党は論外としても、エネルギー政策に楔を打つべき野党最大の民進党。
原発について煮え切らない党内事情は、そもそもが民主党時代から電力総連の応援を受けているからです。

現民進党議員の約30名は電力総連の応援を受けての当選です。
蓮舫代表、野田幹事長、枝野、細野氏など主だった議員もそうです。
どうして「原発反対」と言えましょうか。

反原発運動の大きなうねりも、2012年7月の代々木公園10万人集会をピークに、大きく後退していきました。
と同時に東日本大震災も風化の一途を辿っています。
昨年の熊本大地震にしてからが、本州ではすでに遠い記憶になりつつあります。

そして国民の原発アレルギーが軟化しつつあるのを見透かしたかのように、
川内、伊方が再稼動し、美浜、玄海など20箇所が再稼動準備中または申請中という昨今。
まことに「遺憾千万」というしかありません。



いつの日か「あれから三十年」となるそのころ風はきれいだろうか
美原凍子


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コメント

東海村のエネルギー政策は、
若かったから覚えて居ます。
あの時から もっと関心を持って居たらと
反省して居ます。
電力業界から多大な献金を受けている与野党の
議員さんの選挙の片棒を担がされていたと思うと・・
本当に日本国民として 断腸の思いですv-412

本日、黙祷して泣きましたが
南亭さんの記事を読むと・・本当に腹立たしいv-293
国会議事堂前でdie-in抗議したいです

  1. 2017/03/11(土) 17:38:21 |
  2. URL |
  3. りまど #-
  4. [ 編集 ]
NANTEIさん 今日は
昨日の追悼式の様子や、総理のことを思うと腹が立ってなりません。
  1. 2017/03/12(日) 09:47:35 |
  2. URL |
  3. 相子 #-
  4. [ 編集 ]
りまどさん。
こんにちは。

ありがとうございますね。

せめて東海村の臨界事故を、
もっと深刻に受け止めてもらいたかったと思っています。
近くに住んでいた親友夫妻は揃って不可解な病に冒され、
同じ症状の方々と原因追求、反原発の運動をはじめましたが、
市民は無関心だったといいます。

結局は、そういうことです。
私も含めて無関心に近いのが、この国民です。

慙愧です。。。
  1. 2017/03/12(日) 18:21:03 |
  2. URL |
  3. NANTEI #8g7ZE2Jk
  4. [ 編集 ]
相子さん。
こんばんは。

お偉いさんたちが何をやろうと、
もう見る気もしません。

しょせん上辺だけの言葉ですし、
上辺だけの態度に過ぎないとうこと、
これまで嫌というほど見ましたからね。
  1. 2017/03/12(日) 18:27:16 |
  2. URL |
  3. NANTEI #8g7ZE2Jk
  4. [ 編集 ]
こんにちは。

この間ロボット・コンテストなどをTVで見ていましたが・・
30年で風はきれいになりません!
  1. 2017/03/12(日) 21:20:52 |
  2. URL |
  3. H.yamaneko #-
  4. [ 編集 ]
yamanekoさん。
こんにちは。

もしかしたら50年でもどうでしょう?
なにせ見えないですからね。。。
  1. 2017/03/13(月) 13:34:02 |
  2. URL |
  3. NANTEI #8g7ZE2Jk
  4. [ 編集 ]

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